フューチャー技術ブログ

登録プロダクトオーナーを取得しました

2年前にスクラムマスタを取得しましたが、今後スクラムでプロジェクト運営をしていきたい、DXチームを社内で組織化して手綱を握っていきたいのでプロダクトオーナーを自分たちでやっていきたいというお客さんが増えてくるだろうな、ということでそういうお客さんの支援をしっかりしていけるように知識をアップデートしようということで参加してきました。前回、Scrum Inc.版のスクラムマスタをとったので、同じScrum Inc.版のプロダクトオーナー研修を受けました。

スクラムマスタ研修との違い

前回受けたスクラムマスタの講習の構成とだいたい同じで、4H程度のスプリントが4回で、2日間の研修があり、最後にオンラインの試験を受けて認定を取得という感じです。内容も、無料で公開されているスクラムガイドで説明されているプロセスをベースにプロダクトオーナーに特化したトピックを厚く説明したり、スクラムガイドでは行間として詳しく説明されていない話をばっちり補完する内容になっています。

スクラムをゼロからこれからやっていくぞ、という人には、こちらよりもスクラムマスタ研修の方が良いです。こちらではスクラムイベントを運営してプロジェクトをスクラム化する部分の話はさらっとされるだけです。スクラムはすでにわかっている、実践しているが、それをさらにパワーアップさせたい、みたいな感じの受講者が多かったです。

どちらかというと、ベンチャーのビジネス立ち上げ的な要件定義をプロジェクトを回しながらやっていくぞ、みたいなプロジェクトのディレクションの話が中心です。昔、大学で受けたビジネス創造の授業を思い出すような感じですが、アイデアを出すぞ、ではなく、それを実現していくための機能の洗い出しと、その優先度付け、リリース計画作成みたいな感じですね。

プロダクトオーナーについて誤解していた

プロダクトオーナーは、XPにおける「顧客」の立場よりかな、という感じで考えていました。しかし、講義を聞いて、追加で質問したりもした感じではプロダクトオーナーはかなり開発チーム寄りの立ち位置でした。

思った以上の時間を開発チームと時間を過ごし、質問に答えるというのがタスクとしてあります。

誤解とセクションタイトルに書いたのですが、実際に、日本で最初にスクラムを紹介した本「アジャイルソフトウェア開発スクラム」(僕もこれの翻訳には関わった)では、プロダクトオーナーは開発チームとはちょっと距離があったのですね。スプリントレビューで、初めて顧客や他のステークホルダーと一緒にプロダクトをレビューする、スクラムマスタがプロダクトインクリメントのプレゼンをする、と書いてありました。スクラムガイドでは、このあたりは詳しくは書かれていませんが、セミナーで聞いた場合は完全に開発プロジェクト側に座って参加する、という感じでした。

おそらく、他階層化する大規模スクラムを回していく上で、上位のプロダクトオーナーチームとのやり取りをする上で、プロダクトオーナーがチーム側にいないと、自己組織化(2020年版スクラムガイドでは無くなった言葉ですが)ができず、チーム間のタスクの割り振りがうまくいかないことでこうなったのではないか、という気がします。

これ以外にもいろいろ興味深い話がたくさんあり、単に本を読んだり、公開されている資料からだけでは学べないことを、ワークを通じて学ぶことができ、充実した2日間でした。

まとめ

公共案件に関して、プロジェクトの進め方についての相談をチャットで受けたりしていて、アジャイルの進め方をきちんとお客さんにインプットするためにはプロダクトオーナー周りもうちょっと深く学んでおきたいと思ったので参加しました。参加して正解でした。

新しい知識にアップデートしたり、スクラムガイドの隙間の知識など、幅広く学べました。久々にじっくりフルタイムで学習しましたが、スクラムマスタ同様楽しめました。講師の皆様、一緒に受けた皆さん、どうもありがとうございました。前回以上にすでに実践して苦労しているという人が多く、Q&Aの枠でされる質問とかも含めて興味深い内容が多かったです。

今後は予算をとって、Scrum@Scaleも受けていきたいですね。

余談ですが、この記事のためにアジャイルソフトウェア開発スクラムをざっと再読してみましたが、1章で紹介されている、名前がなかった状態から試行錯誤の中で今のスクラムのような形になっていく歴史の話、今読んでも面白いですね。僕自身が書いているReal World HTTPもそうですが、現在知られているものが作られていく過程の話が好きです。