Future Tech Blog
フューチャー技術ブログ

ダイエット食のブレイクスルー!低温調理器を自作して鶏むね肉を美味しく食べる


フューチャー夏休みの自由研究連載の7回目です。

こんにちは。筒井です。

「コロナ太り」という単語をよく目にする今日この頃ですが、皆さんのお腹の具合はいかがでしょうか。

これからダイエットに取り組もうという方は、おそらく鶏むね肉さんのお世話になるかと思います。鶏むね肉は高たんぱく質で、皮を剥いでしまえば脂質も低い食材です。しかし、調理方法に一工夫加えないとぱさついた食感になってしまうデメリットがありました。

しかしここ数年、低温調理、あるいはSous videと呼ばれる調理法が登場し、鶏むね肉がとても美味しく食べられるようになりました。

市場にはAnovaやBONIQといった専用の製品がありますが、せっかくなので自作することにしました。

設計と部品選定

低温調理に必要な機能はシンプルで、40℃~70℃程度の水温をキープするだけです。

システム全体の構成は以下のようになります。目標温度と測定した水温の差がゼロになるようにヒータの出力を制御します。

まずヒータには、熱帯魚の水槽用のものを使用しました。温度計は自分でこしらえるので、サーモスタット付きのものは使えません。
https://www.yodobashi.com/product/100000001003655227/
(買ったのが結構前なので、販売終了してしまっています。すみません。)

次に温度計ですが、DS18B20という温度センサを防水加工したものを使用しました。
https://www.aliexpress.com/item/32862371307.html

コントローラにはESP32を使用しました。ゆくゆくはスマホから操作を行うことを見越しての選定です。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-11819/

コントローラからヒータを制御するには、AC100Vをオン/オフする必要があります。これにはソリッドステートリレーを使用しました。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-00203/

制作

これらを組み立てたのが以下の写真です。ケースはダイソーで購入した容器です。

SSRは基板付きのキットを購入しましたが、かさばるのでユニバーサル基板に実装してしまいました。実装時の注意点として、絶縁のためにAC100Vの配線はユニバーサル基板上で1コマずつ空けて配線し、ランドを削り取っておくのが良いでしょう。

また設計のところでは解説しませんでしたが、温度を表示するためのディスプレイを追加しています。

ざっくりとした接続図は以下のようになります。

さらにポンプという新キャラが出てきましたが、これは水を撹拌するためのものです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07D29YT2C/

最初は自然対流のみで水温が均一になるかと思ったのですが、思いの外鍋の中で温度差が生じてしまったためポンプを追加しました。

ソフトウェアの実装

実装したソフトウェアの一部を抜粋します。

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void control()
{
// DS18B20から温度を取得する
uint32_t convTime = ds18b20.requestTemperature();
delay(convTime);
float temperature;
if (ds18b20.getTemperatureC(&temperature) != OK)
{
log_e("Failed to measure temperature.");
return;
}
log_i("Temp = %.4f deg-C", temperature, temperature);

// ディスプレイに温度を表示する
char buf[16];
sprintf(buf, "%2.1f %lcC", temperature, 0xb0);
displayTask.displayMessage(buf);

// ヒーター制御
if (temperature < (target_temp - 1))
{
acSwitch.turnOn();
}

if (temperature > (target_temp + 1))
{
acSwitch.turnOff();
}
}

ヒーターの制御は、ヒステリシスを持たせたオンオフ制御としています。例えば目標温度を60度とした場合、測定した水温が61度を上回ったときにヒーターをオフに、59度を下回ったときにオンにします。

調理

調理中の様子です。乱雑なキッチンですみません。

バケツに10Lほどの水を張り、そこにジップロックにいれた鶏むね肉と、ヒータ、温度計、ポンプを放り込みます。

今は10Lのバケツに8Lほどの水で使用していますが、温度を保つ分には200Wのヒータで十分です。しかし、20度ほどの水を60度まで温めるのは不可能と思ったほうがいいかもしれません。我が家は幸い給湯器から60度のお湯が出せるので、それを使用しています。

実食

お待ちかねの実食です!

鶏むね肉の下ごしらえは何もしませんでしたが、とってもやわらかーく仕上がっています。加熱は62度で1時間行い、引き上げ後にジップロック内に軽く塩をして、10分ほど休ませました。

ソースはねぎ塩にんにくだれです。長ねぎとにんにくをみじん切りにして、ごま油と塩で和えただけの簡単たれですが、病みつきになる美味しさです。にんにくパワーで夏を乗り切りましょう。

鶏むね肉を丸々1枚(約300g)使ったのでかなりの食べごたえです。それなのに、これ全部食べてもおよそ400kcal!ダイエットにピッタリの高たんぱく食です。
(鶏むね肉の皮は剥ぎ取っています。余った皮はまとめて冷凍しておいて、ある程度溜まったら鶏油を作るのがおすすめです。)

こちらは同様に豚バラ肉を65度で3時間加熱したものです。

脂身がほとんど溶け出しておらず、非常に罪深い食感です。こちらは八角を効かせた東坡肉風のソースに、白髪ねぎと辛子を添えて頂きました。

脂質が多いのでダイエットには向いていませんが、とても美味しかったです。

まとめ

自作の低温調理器で、鶏むね肉をとても美味しく食べられました。ダイエット食のブレイクスルーです。

課題としては、ヒータ出力の200Wが少し力不足なこと、ケーブルの取り回しが煩雑なことがあります。調理に支障はありませんが、使い勝手があまり良くありません。

今回の製作にかかった費用は以下の通りです。

品目 金額
ヒータ \2,200
温度計 \150
ポンプ \1,100
ESP32 \1,500
ソリッドステートリレー \250
その他配線材、ケースなど \1,000

合計で6,200円でした。

一方市販品を調べてみると、アイリスオーヤマの低温調理器が1万円を切る価格で売られていました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07Z5482Y6

賢明な皆様は、市販品を買ったほうが良いと思います。