フューチャー技術ブログ

手軽な顔認証デバイスを使ってみよう

はじめに

SAIGの山本です。社内では、Edge AIやIoT関連のR&Dや案件に関わっています。

そのRealSenseに、今月、顔認証専用デバイスが新たに追加されましたのでそちらの紹介をしたいと思います。

Intel RealSense

まずは簡単にIntel RealSenseについて説明しておきます。

これはIntel社が販売している深度センサの総称になります(公式サイトはこちら

ちなみに、社内イベントやお客様案件でも以前より検証・利用しているものになります。
(事例:塗り絵の魚がすいすい泳ぐ? ~子ども向けアトラクションを作ってみた~🐟)

ステレオ深度カメラ方式(T200,SR300,D400)とLiDAR方式(L500シリーズ)という2つの深度計測の方式の製品ファミリーに分かれます。また、旧モデルシリーズとしてSR300があり、こちらは現在は販売されていません。T200シリーズはトラッキング用途,D400シリーズは深度カメラ用途です。

RealSense LiDAR カメラ L515

RealSense 深度カメラ D435

SDKもLinux,Windows,macOS,Android向けのものがIntelから配布されており、現在はver.2.0系となります。ver.1.0系は全く異なるSDK(深度センサに直接関連する部分以外のAI的な内容も含まれていた)となるので、インターネット上の情報を参照する際には注意してください。

Intel RealSense ID Solution F400 シリーズ

顔認証に特化した製品になります(公式サイトはこちら)。
F455がそのままホスト機とUSBで接続できる開発者向け製品、F450が様々な機器に組み込むことができるモジュール製品です。
今回はF455を使用した内容となっています。ちなみに、価格は99USD(1万円台)です。

センサー部分は、

  • カメラ(赤外線)
  • 赤外線照射器
  • 赤外線ドット投影器

とその周辺回路で構成されており、iPhone/iPad Proの深度センサであるTrueDepthカメラと似たような構造となっております。

公式ページでは次の特徴があると説明されています。

  • 認識時間は1秒未満(他人受入率1/100万, 本人受入率99.76%, なりすまし受入率<0.1%, 暗号化:AES-256)
  • すべての肌の色と色合いを確実に認証
  • 暗闇から強い日光まで、屋内でも屋外でも機能
  • 時間の経過に伴う変化に適応
  • カメラの高さ方向の有効範囲が大きく、様々なユーザ(子供から大人まで)をサポート

Intel RealSense ID Solution F455のパッケージ

Intel RealSense ID Solution F455 本体

他のRealSenseとのサイズ比較

開発環境

RealSense ID Solutionは他のRealSense向けのSDKとは別にSDKが提供されています。

なお、記事の内容は本記事執筆時点で最新版であるv0.13.0を用いた場合の内容です。

サポートされているOS・言語は次の通りです。

サポートOS

  • Linux
  • Windows
  • ANdroid

サポート言語

  • C#(.NET)
  • C++
  • C
  • Java(Android)

主な機能

このSDKでは主に次の機能が提供されます。

  • 顔情報の取得
    • センサから得られた値から顔の特徴情報を取得します
  • 顔情報の管理
    • 顔の特徴情報の登録・削除・照合を行います
  • プレビューの取得
    • カメラで撮影された画像を取得します

なお、ユースケースに合わせて2つの動作モードが用意されています。

  • デバイスモード
    • 顔情報やデバイスでの照合などをデバイスで行うモード
    • ネットワークに繋がらない、もしくは繋げたくない場合などに使用
  • ホストモード
    • 顔情報をホストまたはサーバー上で管理するモード
    • 複数のデバイスで同じ顔情報を利用したい場合などに使用

サンプルアプリを使った認証テスト

実際にデバイスとサンプルアプリを使って顔認証のテストを試してみました。

結果は次の通りです。

  • 部屋を真っ暗にした場合
    • 部屋が明るい場合と同じように、認証されました
    • 赤外線が照射されているため、他の光源は必要ないようです
  • マスクを被った場合
    • 鼻まで被った状態だと、認証されませんでした
    • 鼻を出した状態だと、認証されました
      • 口周辺は認証には使われていないが、鼻周辺は使われているようです
      • これは深度センサを内蔵しているiPhone/iPad Proと似たような挙動でした
  • 帽子を被った場合
    • 目がカメラから隠れなければ、認証されました
  • サングラスを被った場合
    • 黒い色によって目がカメラから隠れてしまったからか、認証されませんでした
  • メガネを被った場合
    • サングラスのように色が入っていないからなのか、認証されました
  • 自分の顔写真をスマホで表示した場合
    • 認証されませんでした

また、今回は検証できていませんが、3Dプリンタで印刷した顔面でも認識できないとのことです。
眼球での赤外線反射を生体認識として利用しているようです。

さいごに

精度もある程度担保され、比較的コストも低めで、(組込系を含む)ホスト機からの制御もシンプルに行えるので、
顔認証機能が必要となるシステムで利用してみてはいかがでしょうか?

参考リンク

本記事の内容は執筆者個人または所属会社が、紹介した製品の精度などを保証するものではなく、あくまでも個人的な感想となります