フューチャー技術ブログ

GitHub上のChangeLogをCircleCIから自動生成する

はじめに

こんにちは。TIG/DXユニットの富山です。

リリースした際に、機能強化や不具合修正の内容などをユーザーや他開発メンバーに示すために、ChangeLogを作成されている方も多いと思います。

読者の皆さんはどのようにChangeLogを作成されていますか?

例えば手作業で作成されている場合、「内容に記載漏れが発生する」や「作成に時間がかかる」といったデメリットが考えられます。

本記事では、バージョン(タグ)間にマージされたPullRequestの差分のChangeLogを、GitHubのリリースページにCircleCIから自動生成する方法 をテーマに執筆したいと思います!

ChangeLogとは

ChangeLogとは、機能拡張や不具合修正の内容などをユーザーや他開発メンバーに示すために作成されるウェブページや資料のことです。

リモートリポジトリにGitHubを利用されている場合、リポジトリの Releases ページにChangeLogを作成できます。
CHANGELOG.mdというファイルに追記していく事例もよく目にします。

future-architect/vulsもChangelog(リリースノート)を付けています。

https://github.com/future-architect/vuls/releases

Vuls ChangeLog

今回作成するChangelog

今回は、以下のようなChangeLogを作成していきます。

ChangeLog出力例

今回作成するChangeLogに含ませる情報は以下の2つとします。

1. バージョン(git tag情報)
2. リリースまでにマージされたタグ間のPullRequestの①タイトル ②実装者名 ③IDとリンク

ChangeLogを生成するツールやOSSは沢山ありますが、生成されるログの粒度がコミット単位であったり、開発言語に依存してしまうなど、使用するツールの選定に結構苦戦しました。

私が所属してるプロジェクトでは、サーバサイドにGoを使用している関係で、真っ先に goreleaserを採用することを考えましたが、バイナリ配布ではやりすぎ感(あくまでやりたかったことはChangeLogの生成)があり、かつ、あまり上手く制御できなかった背景があり採用しませんでした。

結果、今回は下記2つのツールを合わせることで実現しました。

実装方法

CircleCIからChangeLogを生成するため、 .circleci/config.yml に実装していきます。

手順

以下の3ステップで進めていきます。

1. GitHubの個人アクセストークンを取得する
2. CircleCIの環境変数にGitHubの個人アクセストークンを設定する
3. .circleci/config.yml を編集する
1. GitHubの個人アクセストークンを取得する

GitHubから取得する方法については、個人アクセストークンを使用するをご参照ください。

2. CircleCIの環境変数にGitHubの個人アクセストークンを設定する

CircleCIの環境変数の設定方法は、コンテキストの使用をご参照ください。

以下のように、 GITHUB_TOKEN を定義し、個人アクセストークンを設定しましょう。

アクセストークンの設定
3. .circleci/config.yml を編集する

該当部分のソースコードは下記です。
tagがリモートリポジトリにpushされた場合のみ、 releaseジョブが発火するようにしています。

.circleci/config.yml
version: 2.1

jobs:
release:
working_directory: {YOUR_WORKING_DIRECTORY}
docker:
- image: circleci/golang:1.16.0
steps:
- checkout
- run:
name: Install ghch and github-release
command: |
go install github.com/Songmu/ghch/cmd/ghch@v0.10.2
go install github.com/github-release/github-release@v0.10.0
- run:
name: Create release note
command: |
github-release release \
--user {YOUR_GITHUB_USER} \
--repo {YOUR_REPOSITORY} \
--tag "${CIRCLE_TAG}" \
--name "${CIRCLE_TAG}" \
--description "$(ghch --format=markdown --latest)"

workflows:
workflow:
jobs:
- release:
filters:
branches:
ignore: /.*/
tags:
only: /.*/

ソースコード上の以下3点をご自身のものに置き換えてください。

1. {YOUR_WORKING_DIRECTORY} -> CI上のワーキングディレクトリ
2. {YOUR_GITHUB_USER}   -> GitHubユーザーネーム
3. {YOUR_REPOSITORY}   -> ChangeLogを生成するリポジトリ名

生成しているコマンドについて簡単に解説

「ChangeLogを生成し、GitHub上で公開する」部分は上記ソースコード上の以下にあたります。

github-release release \
--user {YOUR_GITHUB_USER} \
--repo {YOUR_REPOSITORY} \
--tag "${CIRCLE_TAG}" \
--name "${CIRCLE_TAG}" \
--description "$(ghch --format=markdown --latest)"

ghch で、最新のタグと最新-1のタグの差分のChangeLogのテキストをマークダウンで生成し、github-release で、GitHubに反映させています。

あとは、試しにPullRequestをマージして、タグを切ってpushしてChangeLogが生成されることを確認できたら成功です! 🎉

おまけ

Tipsを載せておきます。

ローカルからChangeLogを更新したい

ローカルにGoが入っている方は以下コマンドでインストール、入っていない方はバイナリをインストールしてください。

# Goが1.16以下の方は go get でインストールしてください。
$ go install github.com/Songmu/ghch/cmd/ghch@v0.10.2
$ go install github.com/github-release/github-release@v0.10.0

次に、 GitHubの個人アクセストークンを取得するパートにて取得した個人アクセストークンを環境変数として定義します。

export GITHUB_TOKEN=ghp_xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

上記が完了したら、下記コマンドで生成できます。

$ github-release release \
--user {YOUR_GITHUB_USER} \
--repo {YOUR_REPOSITORY} \
--tag {TAG} #公開するバージョン名 \
--name {TAG} #公開するバージョン名(ChangeLogを生成するバージョンのタイトルになります) \
--description "$(ghch --format=markdown --latest)"

最新バージョンの「ChangeLog」は生成できたけど、過去分のバージョンにもChangeLogを作成したい

ghch にはタグを明示的に指定することで、過去分のタグのChangeLogも生成できるので、ローカルから下記コマンドを参考に実行してください。

--from オプションから --to オプションまでの差分を公開できます。
※ ↑で記した、インストールや環境変数の定義は完了していることを前提とします。

$ github-release release \
--user {YOUR_GITHUB_USER} \
--repo {YOUR_REPOSITORY} \
--tag v0.2.0 \
--name v0.2.0 \
--description "$(ghch --format=markdown --from=v0.1.0 --to=v0.2.0)"

おわりに

OSSを利用することで、簡単にChangeLogを自動化できます。

ChangeLogとともに、高品質なプロダクト作成に寄与できたら嬉しいです!