はじめに
Technology Innovation Group DX-unitの江口です。
DXアプローチ連載1本目として、今回はフューチャーの「デザインワーク」について書きます。
複数のお客さまとデザインワークを行ってきた経験から考える、「デザインワークとはなにか」「デザインワークでは何をするのか」をお伝えできればと思います。
デザインワークとはなにか
デザインワークとは、「アイデアの創出、サービス設計、具体化」までを、デザインとテクノロジーの両軸で推進するフューチャー独自の方法論です。
アイデオ発祥(*1)のDesign Thinking(デザイン思考)のプロセスをベースに、フューチャーのプロジェクト事例・経験に基づいた手法を加えることで、サービス開発時のアイデアや不確定要素を体系的に整理・検証し、実現可能な計画に発展させます。
フューチャーは、構想を練るだけではなくデザインワークの段階からサービスやシステムの構築経験があるメンバーが参画することで、実装や技術要素の具現化なども並行して行います。
また、多様な業界・業務のプロジェクト支援経験に基づく、幅広い視点からのアイデア創出やお客様同士の接点創出もしています。
*1: https://www.ideou.com/pages/design-thinking
それでは、以降では、具体的にデザインワークではどのような手法やアプローチを行っているのかをご紹介します。
デザインワークでは何をするのか
アプローチの全体像
アプローチの全体像は以下のステップを踏むことが多いです。
1. アセスメント:現在の問題/課題の洗い出し
「実現したいこと」がなぜ必要なのか、現在どのような問題/課題があるのか、などを洗い出し、今後のステップに進む前に、お客さまとフューチャーで情報レベルを揃えることを目的とします。
2. コンセプト設定:問題/課題を解決した理想的な状態を描く
アセスメントで収集した情報や問題/課題をもとに、現在の問題/課題が存在しない理想的な状態を構想しコンセプトとして設定します。
3. アイデア創出:理想的な状態のために何が必要かを考える
コンセプトを実現するために必要なモノ・コトを考えます。
意見の大小、実現方法の種類は問わず、お客さま・フューチャーで意見を出し合います。
4. アイデア検証:アイデアの妥当性、効果を検証する
アイデアの中から、実際に試すことができそうなものを、簡易なワイヤーフレームやUIを作成して、実際にユーザインタビューなどを通じて、妥当性や効果を検証します。
5. 実行:アイデアを実行する
これまで並行して検討してきたサービス実装や、技術要素、アーキテクチャ等を実際のシステムとして作り上げていきます。
以降、各ステップの実際の進め方やワークショップの様子などをお伝えします。
ただし、お客さまによって進め方やステップの順番が入れ替わることも多々あるので、一例としてお伝えすることご了承ください。
各ステップについて
1. アセスメント:現在の問題/課題の洗い出し
アセスメントでは以下のような内容を確認し、情報を集めていきます。
形式は、ワークショップ形式で、お客さまとフューチャーが同じグループになって意見を出し合い、とにかく情報量を増やしていきます。
なぜこの会社でこの目標を実現するのか?
お客さまの事業特性や、社会動向等の観点から洗い出します。現在稼働しているサービスの優位性はなにか?
どのような特性があるのか、特にユーザと接する「タッチポイント(※)」をどこに持っているかを洗い出します。※サービスを展開するには必ず「ユーザとの接点」が必要なのでどこにその接点があるかを重点的に洗い出します。
誰に対するサービスなのか、ユーザにどのような価値を提供するのか?
上記記載のとおり、「誰に」提供するのかが非常に重要な観点なので、現在のターゲット層や、そこから派生してターゲットとしたいがまだできていない層などを洗い出します。新しいサービスを提供し続けて問題ないのか?
サービスを続けていくには、社会の変化や動向に合わせることも重要です。
アイデア創出の元情報として、今後の社会の変化や動向を洗い出します。アプローチする市場はどこで、その市場はどのような状況なのか?
市場に存在するユーザや、市場の規模を確認します。
【実際のワークショップの様子】
ワークショップでは以下のように紙に沢山付箋を貼るなどして、知識量を増やしていきます。
2. コンセプト設定:問題/課題を解決した理想的な状態を描く
アセスメントで収集した情報や問題/課題をもとに、想定するユーザが利用するサービスの理想的な状態を描きます。
この「理想的な状態」は、まずは大きな理想でもよいですが、言語化することでお客さま・フューチャーともに共通認識を持つことが重要です。
設定したコンセプトを実現するためのアイデアや、実現に向けたステップは以降のステップで検討します。
ただし、検討状況などにあわせて、特に「2.コンセプト設定」と「3.アイデア創出」の実施順は入れ替わることが多いです。
アイデア量を増やしてから、アイデアをまとめながらコンセプト設定をする、等のステップを踏むこともあります。
3. アイデア創出:理想的な状態のために何が必要かを考える
コンセプトの実現に向けて、必要なモノ・コトを洗い出します。
この時点では、明確な実現方法は考慮せず、「とにかくアイデアの量を出す」ことが重要です。
お客さま・フューチャーそれぞれの視点から、ワークショップ形式やピッチコンテスト形式などでアイデアを出し合います。
※コロナ禍ではオフライン(対面)のワークショップが難しい場合もあったため、その際は「miro」というツールを利用していました。
【実際のワークショップの様子】
その後、アイデアが増えてきた段階で、アイデアをグルーピングするなどして整理をします。
この整理結果を踏まえて、次のアイデア検証に移っていきます。
4. アイデア検証:アイデアの妥当性、効果を検証する
前ステップ「アイデア創出」で出たアイデアから、実際にユーザに当てて検証することで、妥当性や効果を検証します。
その際には、簡易なワイヤーフレームやUIを作成し、実際に検証協力者が操作を疑似体験できるような形にします。
※ワイヤーフレーム等の作成ツールには、Figmaを利用することがあります。Figmaの使い方等についてはこちらの記事を参照してください!
- https://future-architect.github.io/articles/20210526a/
- https://future-architect.github.io/articles/20200318/
※もし、Miroをお使いであれば、ワイヤーフレームなどデザインワーク関連の専用のテンプレートも用意されています。
作成したワイヤーフレームなどを使ってターゲット層の実際のユーザに協力してもらい、
- 操作感
- 操作するうえでの疑問
- サービスのメリットと感じる部分(サービスが存在すれば利用するのか)
- その他に必要な機能はないか
などの観点から、率直な意見をヒアリングします。
こちらの検証結果を踏まえて、改善点の洗い出しや、実現に向けて考慮するポイント、懸念点などを検討します。
5. 実行:アイデアを実行する
アイデア検証の結果や、並行して検討してきたサービス実装、技術要素、アーキテクチャを実現するために、機能の洗い出しや要件の検討に進んでいきます。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました!
5つのステップをご紹介しました。
冒頭でも述べた通り、お客さまの目指す内容によってアプローチ方法やステップの順番、利用する手法なども様々です。
しかしながら、一貫してフューチャーのデザインワークのアプローチは以下がポイントとなると考えます。
- お客さまとフューチャーで「一緒に」作り上げる
フューチャーが描いてそれを納得してもらう、のではなく、一緒に意見を出し合いながら作り上げる - システム的な観点や多様な業界・業務の経験から、描いたデザインを、実現するプロセスにまで繋げることができる
次のDXアプローチ連載ではミンさんにもデザインワークの記事を書いていただきます!
そちらも是非お楽しみに!