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【メディア業界】新聞業界・基礎編

はじめに

こんにちは!2021年入社、TIGメディアユニット所属の岡田です。

この記事は「業界ドメインに詳しくなろう」シリーズ連載の「メディア業界へのチャレンジ」基礎編です。

新聞業界を全く知らない方、これから関わるかもしれない方、ちょっとだけ興味がある方などなど、基礎編を一読すれば新聞業界を知る足がかりになるはずです。新聞業界(メディア業界)の変遷、新聞の種類と特徴、そして新聞の使命とは・・・新聞業界の基礎的要素を、新聞業界のDX実現に携わっているフューチャーの視点から紹介していきます。

新聞業界(メディア業界)の変遷

新聞業界(メディア業界)のこれまでを振り返ってみると、2000年以前、メディア影響力の観点ではメディア企業の記者数が資本であり、主役は新聞社でした。記者による書き手視点の記事が求められ、知識の深掘りによって蓄積してきたリソースが経営資源となっていました。

メディアの変遷

2000年代に入ると、インターネットの普及に伴いメディアの情報量が増加し、誰でもコンテンツをつくれるようになりました。たくさんのコンテンツが集まるソーシャルメディアの台頭に伴い、インターネット上で大きな影響力をもつインフルエンサーが主役となりました。コンテンツ増加とソーシャルメディアに関する市場規模の拡大が進むこれからの時代におけるメディアは、コンテンツ自体が主導となり、コンテンツの質・量、そして読み手視点のコンテンツが求められます。

メディア影響力の変化が新聞業界へと波及する中、新聞は紙媒体だけでなく、様々な媒体に姿を変えて情報を発信しています。新聞社がソーシャルメディアを活用し、ユーザ起点で「読み手視点のコンテンツ」を実現した例として、朝日新聞社の「withnews」1があります。

withnewsは新聞を読まない世代を取り込むためのユーザ参加型ニュースサイトで、サイト上から取材リクエストを募り、実際に同社の記者が記事化を行います。また、ネット上で話題になっている情報の調査なども実施しています。

新聞の種類と特徴

新聞の種類は、新聞の発行範囲によって「全国紙」、「ブロック紙」、「地方紙」などに分類されます。(地方紙よりさらに狭い範囲では「地域紙」があります。)また、産業経済紙やスポーツ紙など専門紙・業界紙があります。

全国紙は基本的に全国共通のページと地域に関するページで構成されており、地方のニュースは地域版(地域面)に掲載されます。一方でブロック紙・地方紙は全国紙と違い、全国紙で扱うニュース(全国的なニュースや海外のニュース)については、主に共同通信社や時事通信社などの通信社から配信された記事を掲載します。地元取材に注力して、地域に密着したニュースを報じているのが特徴です。

新聞を製作している新聞社の事業は、ラジオやテレビ局、雑誌や書籍の出版、芸術・文化事業、プロ野球チームなど多岐に渡ります。

新聞と同じメディアでもテレビやラジオについては放送法で規制されており、許認可が必要であるため中立的な立場であると言われています。対して新聞は許認可が不要であり、取材に基づいた報道と、社説で新聞社としての意見も言及しています。社説において各新聞の個性や特徴が表れるといっても過言ではありません。

※参考「新聞の創刊年表」・・・全国紙・ブロック紙からピックアップして記載(岡田調べ)

興味のある方は、時代とともに歩んできた新聞の歴史をぜひ調べてみてください。
新聞年表

新聞の使命とは

昨今、読者の減少に伴う新聞発行部数の減少についてはご存知の方が多いと思いますが、改めて新聞の使命について考えてみましょう。
本記事では、宮城県石巻市にある石巻日日新聞社の事例2を紹介します。

2011年の東日本大震災時、石巻日日新聞社は津波と停電被害で、新聞が発行できなくなりました。

石巻日日新聞社の方々は、「今こそ地域に役に立つ情報を発信しなければならない」と考え、手書きで壁新聞を6日間にわたって避難所に掲示しました。はじめは、主に被害情報を載せていましたが、被災した人々の気持ちに寄り添い、支援物資の情報やボランティア情報など「希望が持てる情報」を発信するようになりました。地域密着型で地域に寄り添う地方紙(地域紙)の一面を感じられる事例です。

石巻日日新聞社の事例から考えられる新聞の使命とは、「日々起きているニュースを報じること」です。特に災害時、情報を多くの人に伝えることが重要な使命だといえます。紙媒体である新聞は、災害時に大きな力を発揮します。インターネット上で様々な情報が飛び交うなか、新聞は取材に基づき、裏付けされた確かな情報を人々に届ける役割を担っているのではないでしょうか。

※もうひとつ参考として「犠牲者の行動記録」3 を紹介します。東日本大震災から5年後、岩手日報社と首都大学東京の渡邊英徳研究室は岩手県における震災犠牲者1326人の地震発生時から津波襲来時までの避難行動をまとめ、航空写真・地図と組み合わせて可視化したデジタルアーカイブ「忘れない~震災犠牲者の行動記録」4を制作しました。津波襲来時の所在を遺族に取材して、データ収集を行っています。岩手日報紙面では、このアーカイブを活用して避難行動について分析・提言しています。

さいごに

新聞業界(メディア業界)の基礎編、いかがだったでしょうか。

新聞の発行部数の減少、新たなメディアの台頭やデジタルビジネスへの出遅れなど、危機的状況から脱却するためにフューチャーが行った新聞業界(メディア業界)へのチャレンジとは・・・?

次回は、新聞社の編集業務、そしてフューチャーのメディア業界へのチャレンジと実際の取り組みについて紹介する予定です。

お楽しみに!

アイキャッチ画像は、Matthew Guay on Unsplash です。


  1. 1.朝日新聞社「withnews」:https://withnews.jp/
  2. 2.被災地(ひさいち)に希望をあたえた壁(かべ)新聞 - NHK:https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005311033_00000
  3. 3.犠牲者の行動記録 | 岩手日報 IWATE NIPPO:https://www.iwate-np.co.jp/page/kodokiroku
  4. 4.「忘れない~震災犠牲者の行動記録」:https://iwate.mapping.jp/index_jp.html