フューチャー技術ブログ

ポッドキャスト運営をしていて思うこと、収録Tips

こんにちは、Future Tech Cast メインパーソナリティの村田です。
今回は秋のブログ週間連載3日目ということで、ポッドキャスト運営として活動する中で思うこと、ナレッジをつらつらと書いていきたいと思います。

私はフューチャーにて Future Tech Cast を運営しつつ、プライベートでも1本ポッドキャストを運営しています。本記事ではせっかくなので2つのポッドキャスト運営を通じて培ったノウハウにも触れたいと思います。

ポッドキャストを始めたわけ

フューチャーには元々 Future Tech Blog があり、2016年から続く長寿コンテンツとして君臨しています。ちょこちょこはてぶランキング上位に食い込む記事が登場したり、皆さんに愛されるブログとなっているかなと思います。フューチャーとしての技術発信の軸足はいまも変わらずこの技術ブログに置かれているのですが、コロナをきっかけにポッドキャストの機運が高まってきました。

これはもう世間で散々こすられた話ではありますが、おうち時間の増加(※)に伴い、「耳だけ」で楽しめるコンテンツとしてのポッドキャストの需要が増加しました。「この波に乗るしか無い…!」という機運もありポッドキャストを始める流れが社内で生まれ、2020年11月に記念すべき第1回のエピソード(#1 Real World HTTP著者の澁川さんと語り尽くす会)を公開するに至りました。

※日本国内におけるポッドキャスト利用実態についてはオトナル様の「ポッドキャスト国内利用実態調査2021」が一番丁寧に調査・整理されている印象です。「オトナル、朝日新聞社と共同で「ポッドキャスト国内利用実態調査2021」を実施。使用サービスはSpotifyがApple Podcastを抜いてトップに」 の記事内でも言及されていますが、ポッドキャストの聴取シチュエーショントップは「家事中(35.2%)」であり、コロナ禍でのリモートワーク促進・おうち時間の増加がポッドキャストユーザの増加を後押ししていることが分かります。

ポッドキャストの良さ・ブログとの違い〜相性の良いコンテンツとは〜

そんなこんなで波に乗る形でポッドキャスト企画が進んでいきましたが、改めて真剣にポッドキャストの存在意義を考えてみると、音声コンテンツ固有のメリットもあるなと思い至りました。というのも、ブログ記事は良くも悪くも文章と図があるのみなので、書き手がどんなキャラクターなのかはなかなか伝わりづらいです。もちろん文体にキャラクターがぷんぷん滲み出るタイプの人もいますが、音声コンテンツへ載せられる情報量には敵わないなと思っています。そういった意味で、音声コンテンツであるポッドキャストはフューチャーの技術を発信する媒体として一定の役割を担えるはずです。

実はポッドキャストを始める際に、「YouTubeの動画投稿も始めちゃう?」といった話もあがりました。結果的にこれは却下されたのですが、その大きな理由のひとつは「編集コスト」でした。その観点でもポッドキャストは優秀です。もちろんどこまでこだわるかにはよりますが、字幕を挿入するなど素材に対しての足し算が発生する動画編集に対し、音声コンテンツであるポッドキャストの編集は素材をベースに引き算な編集を行うことが主です。そんな背景もあり、編集は素材音源の長さの1.5〜2倍程度の時間で完遂できています。

話をブログとの違いに戻しますが、先程も書いたようにブログは「文章と図」、ポッドキャストは「音声のみ」という媒体特性から、各々得意なコンテンツが異なります。実はポッドキャスト開始当初は「技術ブログの音声版にしよう」という思想の元スタートさせたのですが、実際に収録を重ねていくと難しい面も浮き彫りになってきました。技術ブログの記事ではやってみた系記事だったり図やソースコードを見せつつの実装ノウハウ・Tips系記事なども多く、そういったコンテンツを音声のみでお届けしようとすると非常に伝わりづらくなってしまいます。ゆえにFuture Tech Castでは、技術に軸足を置きつつも人・組織・考え方・キャリアといったポイントにスポットを当ててフューチャーの生の声を届けるコンテンツとして育てていっています。

もっとパーソナリティとしての力量をあげて技術的な情報についての密度をあげていきたいなとも思っていますが、技術に携わる「人」に焦点をあてるいまのやり方は私個人としても非常にやりやすく、話を聞いていても楽しいなと感じられるのでこれはこれでひとつのスタイルとして良いのかなと思っています。

超個人的な話になりますが私はfukabori.fmのパーソナリティであるiwashiさんをリスペクトしており、ちょくちょく配信を聞かせていただいてます。そしていつもながらに思うのですが、中々あのレベルの情報密度を生み出すところへ到達するのは難しいですね。でもやはり技術系発信コンテンとしては「技術の情報密度」は大事にしたく、今後もっと伸ばしていきたいです。りっちゃ・りょかちのやいやいラジオにiwashiさんがゲスト出演した回がありまして、ここで語られていた考え・テクニックは非常に興味深かったです。(#170 fukabori.fmのiwashiさんがしたかった雑談

運営・収録に際してのTips

ポッドキャスト運営および収録を始めてからかれこれ2年が経ちましたが、それなりに運営ノウハウだったり収録環境周りのTipsも溜まってきたのでこのタイミングでご紹介したいと思います。

運営で心がけていること

私が定常的に運営として行っている仕事は大きく3つあります。

  1. 公開スケジュール管理
  2. ゲストの調整
  3. 収録音源の編集・公開

まずは1つめの公開スケジュール管理ですが、継続的な活動にしていくためにもやはり重要です。一時期これが崩れてしまった際は投稿頻度が激減してしまいました…ゆえに、ゲストの人が決まったら自分を律する意味も込めて「TechCast公開日」という予定をカレンダーに入れるようにしています。最近では1回の収録音源が編集を経て前後編の2つに分割されることが多いので、「収録→翌週前編公開→翌々週後編公開」の3週間を1サイクルとして、バッファも持たせつつスケジュールを組んでいます。

ゲストの調整について心がけている点は「シリーズ企画を練る」ことです。これは技術ブログ側の運営ノウハウをそのまま流用しているのですが、やはりシリーズテーマが決まっている方がゲストの人を呼びやすいです。ちょうどこの記事を書いているタイミングでは「AIシリーズ(※)」の企画が動いていますが、すでに3ヶ月先までの予定が埋まっています。(これは非常に…非常にありがたいことです…!!!)

※シリーズ初回は #34 MLOpsエンジニアって何やるの?(前編) です。ぜひお聞きくださいmm

編集のタイミングでも様々意識しているポイントがあります。いわゆる”雑談”をお届けするポッドキャストではないので、変に間延びしないよう会話の間などは不自然になりすぎない程度で極力カットしています。また、「BGMをいれるか」についての議論も行われたのですが、番組の特性上倍速再生が主なユースケースと考え、BGMは入れないことにしました。

収録環境で心がけていること

収録は基本的にZoomで行っているのですが、設定周りで気をつけていることがいくつかあります。その中でも特に重要なのが「参加者ごとに個別のオーディオファイルでレコーディングする」設定(※)です。通常Zoomミーティング参加者の音声は全てひとつの音声ファイルにマージされた形でレコーディングされます。ただ、この状態だと誰かの音声だけボリュームを調整したり、あるいは不要な相槌をカットするといった作業が難しくなります。しかしこの機能を使うと話者ごとにオーディオファイルが分割されるため、前述のような編集がとても容易です。個人的にはポッドキャスト収録時はほぼマストな機能なのかなと思っています。

※この機能はローカルレコーディングの場合のみ設定可能で、クラウドレコーディングでは利用できない機能なので注意してください。

またZoom収録時の悩みとして「音声品質が低くなってしまう」というものがあるかと思います。これは各人のネットワーク環境や収録環境などにも依存するため一律の解はないですが、ベターな設定を入れ込むことは可能です。私が使用しているのは「オリジナルサウンド」の設定です。この機能を使うとよりクリアな音質で収録することが可能です。私は「高忠実度音楽モード」を有効にして収録を実施しています。

Zoom側の設定はこれでOKなのですが、収録時には他にも様々ハプニングが発生します。スマホの通知音が鳴ってしまったり、PCに入っているウイルス対策ソフトの定期スキャンがちょうど実行されて猛烈に回転するファンの音が乗っかってしまったり…ゆえにスマホなどは消音モードに設定の上、定期的にPC負荷を上げてしまうことが分かっているソフトウェアについては一時的に動作を停止させるなどの下準備も欠かせません。

こうした環境周りの整備のおかげもあり、オンライン収録のみで運営している Future Tech Cast も特にやり辛さは感じずに収録を進められています。

最後に

今回はポッドキャスト運営をする中で心がけていること、そして収録に関わるTipsをご紹介させていただきました。すでにポッドキャスターな方、そして未来のポッドキャスターに向けてこの記事が少しでも広く届くとうれしいです。

アイキャッチはDaniel FrieseneckerによるPixabayからの画像を利用させていただきました。