フューチャー技術ブログ

『「技術書」の読書術』読書感想文

はじめに

HealthCare Innovation Group(HIG)1の永井優斗です。

この記事は「春の入門連載2023」5日目です。昨日は市川浩暉さんの「Cloud Data Fusionで始めるETL入門」でした。
昨年も5日目に書いていたようです。

技術の世界は日進月歩で進んでいることから、他の業界以上に、日頃から知識を入れ続けることが求められるのがIT業界です。そんなIT業界にITコンサルタント/エンジニアとして身を置く決意を持った新人さんにも楽しく学習してほしいなと思います。

学習のツールとしてインターネット上に公開されているQiitaなどの技術記事、このFuture Tech Blogのような技術ブログを読むことも有用ではありますが、技術書を1冊読むとその本で取り上げられているテーマを体系的に学ぶことができます。先輩社員から本は読もうね、とアドバイスされた方も多いのではないでしょうか。

今回は『「技術書」の読書術』という本を取り上げていきます。

https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798171548

目次

本書の目次は下記のとおりです。

第1部 選び方

1-1 あらゆる手段で本を見つける!書店の歩き方からITツールの活用法まで

  • 何を読んだらいいのかわからない? ~書店での選び方のヒント~
  • 本の種類別に考える選び方 ~技術書の種類を知る~
  • 新刊の発売に気づく工夫 ~エンジニアなら自動化しよう~
  • “名著”の罠 ~「よい」本を選ぶのは難しい~
  • 図書館の活用 ~貴重な本に出会う~
  • 本を読む目的と選び方の関係 ~目指すゴールによって選ぶ本は変わる~

1-2 世界が広がる!貪欲に本を求めれば、出会うはずがない本にも出会える

  • 悪書・良書を気にする必要はない
  • レベル感の合った本を選ぶ
  • くじ引き読書法
  • 英語の技術書という選択肢

第2部 読み方

2-1 比べて、使い分ける。時間をムダにせず理解を深める

  • 「『3』の発想」 ~1つのテーマで3冊の本を読む~
  • 分類とリンク ~読んだ本を整理する~
  • 電子書籍と紙書籍を使い分ける ~それぞれのメリット・デメリットを把握する~
  • 読書にかける時間 ~本の価値を時給換算する~
  • プログラミング書の読み方 ~動くコードを自分で書く~
  • 数学書の読み方 ~文系・理系それぞれのアプローチ~
  • 積読の解消法 ~優先順位を設定する~

2-2 ルール無用。精読、多読、乱読し、読書の枠を超えてゆけ

  • 読書にルールなし
  • 過去に読んだ本をもう一度読んで成長を実感する
  • 読書の枠を超えて学習を加速する
  • ページを破って持ち歩く分冊化読書法
  • 1冊90分で読む時間制限読書法
  • マーキング読書法で脳に刻み込む
  • オーディオブックでインプット量を増大させる
  • 電子書籍のメモやノートを取る
  • DeepL翻訳で英語の技術資料を読む
  • 読書記録のすすめ
  • 3年で成果を出すための一点突破読書法
  • 1年で1,000冊を読破する超多読法
  • 読書を助ける便利なグッズやアプリ

第3部 情報発信&共有

3-1 成長のチャンスはアウトプットにあり

  • アウトプットは最大の成長 ~講演や勉強会でスキルアップ~
  • 発信するテーマの選び方 ~「自分ならこうする」を発信する~
  • 執筆における工夫 ~「便利なツール」を活用する~

3-2 アウトプットも「遅すぎる」ことはない

  • 技術書の読書におけるアウトプット
  • たくさんアウトプットしよう
  • いつでもどこでもアウトプット
  • レビューの有効性
    (詳しい目次は翔泳社のサイトをご覧ください)

特徴と感想

目次からも伝わるかなと思うのですが、技術書をどのように選ぶか、どのように読むか、そして読んだ内容をどのように活用していくか、技術書への付き合い方を丁寧に解説した1冊です。

また、この本は2人のエンジニア(増井敏克氏・IPUSIRON氏)によって書かれた本ですが、例えば、第1部は「選び方」について、1-1を増井氏、1-2をIPUSIRON氏が記述する、という形でそれぞれの部を構成しています。本の読み方は人それぞれで正解があるものではないという考え方のもと、お二人の見解が異なる部分もあえて残す編集をしているそうです。

第1部では選び方をテーマにしています。よく先輩社員が「思わぬ出会いがあるから技術書は(ネットではなくて)書店で買うといいよ」、というアドバイスをされることがありますが、具体的に書店に行ってなにしたらいいの?という問いに答えてくれています。
個人的に1-2のくじ引き読書法は面白いなと思いました。①関心のなかったジャンルの本棚の前に立ち、②目をつぶって手を伸ばして触れた本を、③できれば制限時間を定めて読破するという方法です。
このくじ引き読書法のランダム性を上げるためにNDC(図書館で利用されている分類番号)を2桁乱数で絞り込んで①の棚決めをしたり、ISBN(書籍の世界共通の識別子)をランダム生成するという方法も紹介されているのですが、エンジニアらしい遊び心のある手法だなと思わず感心しました。

第2部の「読み方」編が本書のメインどころでもあるのですが、紙の本をマーキングしながら読む古典的な方法から、DeepL翻訳やオーディオブックなどの現代のテクノロジーを駆使した方法まで様々な手法が紹介されており、試しながら自分にあった読み方を模索するといいかなと思いました。

また、第3部でアウトプットの紹介をしているところも推せるポイントで、新人のみなさんにもぜひアウトプットを実践してほしいなと思います。本書内でも「とりあえずアウトプットする」ことで他の人からフォードバックをもらえる、言い換えれば、自分にわかっていない部分があることを他人に気づいてもらえ、さらなる学習への好循環が生まれると記載されています。
ライトなものであれば、仲間内や同期で勉強会を開いてもいいですし、社内外の勉強会やカンファレンスに参加してみるのも良いかと思います。

さらに本書の内容に加えて個人的におすすめなのは、アウトプット駆動学習です。「何月何日にブログに書くぞ、そのためにXXXを学習する!」とか、「半年後の資格試験に向けて勉強するぞ!」というものです。
なかなか本を買ったけど読まずに積読してしまったりしますが、アウトプット駆動学習は、モチベーションを焚き付け、また、締切効果もあって短期集中して学習することができます。
(実はこのブログも、春の入門記事連載の募集に「何か書きます(内容未定)」と手を挙げたところから始まってますし、ここ2年ほどはある国家資格の取得のためにずっと学習漬けの日々を送ってました。無事合格した資格の話は別途記事を書くことを予定しています。)

まとめ

新人のみなさんにはぜひ一度手に取ってほしいなと思う1冊でした。ぜひ書店で出会ってみてください。
また、フューチャー社員の方は「とりあえずアウトプットする」ことを目標に、ぜひ技術ブログ執筆にチャレンジしてみてください。(新人の方は研修終了後からブログ執筆可能です。)

次は工藤さんの初めての画像処理〜OpenCVって何ができるの?〜 です。


  1. 1.医療・ヘルスケア分野での案件や新規ビジネス創出を担う、2020年に誕生した事業部です。設立エピソードは未来報の記事をご覧ください。