OS自作入門本に触れたのでOS起動までの処理概要をまとめてみた

はじめに

はじめまして、2022年4月入社・Technology Inovation Group（TIG）所属の栗栖です。

最近、ゼロからのOS自作入門（通称：みかん本）を読み始めました。

ソースレベルで解説があるため深い理解を得やすいですが、OS起動まで処理フローの記載がなく、全体感を把握するのに苦労したので私なりにmikanOSが立ち上がるまでの処理概要をまとめてみました。

OS起動までの流れとしては以下の通り。

CPUがBIOSに格納されたバイナリプログラムを実行する。

※PCの電源が切れるとメインメモリの内容は消え、次回起動時にCPUは命令を読み取ることができなくなる。電源を切っても記憶内容を保持する不揮発性メモリ（ROM）にBIOSを書き込むことで、CPUがBIOSを実行可能にしている。

コンピュータを初期化（CPU動作モードの設定、PCIデバイスの検出）し、接続されたストレージ内のブートローダを検索する。
/EFI/BOOT/BOOTX64.EFIをメインメモリ上に展開し実行する。

カーネルファイルを読み出し実行する。

システムの機能やリソースを管理し制御する。

UEFI BIOSがブートローダの実行までしてくれるので、ブートローダとカーネルの実行可能ファイルを用意する。

以下の処理があれば良い。

自分が作るOSでやりたいことを書く。(描画、デバイス制御、アプリケーション等)

C/C++で書いたブートローダとカーネルのソースコードは以下手順で実行する。

ソースコードからオブジェクトファイル(バイナリコードだが実行可能ではない)を生成する。
※1つのソースコードは1つのオブジェクトファイルとなるため、差分のあるソースコードだけを再コンパイルすることで時間を節約できる。

複数のオブジェクトファイルを結合して実行可能なバイナリファイルを生成する。

ビルドされたファイルをディスクイメージに組み込む。

手順

├─mnt
   ├─EFI
   │  ├─BOOT
   │      └─BOOTX64.EFI #ブートローダ
   ├─kernel.elf #カーネル
   └─memmap # メモリマップ

実機環境であればシステムドライブにディスクイメージを焼いてブートする、

仮想環境であればQEMU等の仮想マシンでディスクイメージを起動するとOSが立ち上がる。

本を読む前はOSは複雑で個人では取り掛かりにくい印象がありましたが、立ち上げるために必要な1つ1つの処理は意外と単純でした。立ち上がった後のカーネルの持つリソース管理や制御の実装部分は複雑なので大変だと思います。