はじめに
フューチャーアーキテクト物流サービス事業部の引網康暁です。物流領域における戦略策定、DXコンサルティング、事業開発を行っています。
2024年5月28日から31日まで、浜松で開催された人工知能学会全国大会2024で、物流関連の研究発表をしてきました。なお、フューチャーはゴールドスポンサーとして学会に出展していましたので、ぜひこちらのブログもご覧ください!
登壇へのモチベーション
私は、2023年3月まで、立教大学大学院人工知能科学研究科に社会人院生として在籍し、AIを活用した物流最適化の研究を行ってきましたが、かねてから、人工知能学会全国大会への研究成果の投稿を1つの目標としてきました。
前職でロシアに駐在していた際、ロシアの自動車物流カンファレンスに唯一の(単にめずらしい)日本人として登壇したことがあります。その際に身をもって経験したことは、講演会で登壇すると、聴講者の方から生のフィードバックをたくさん頂けるので、聴講する側よりも何百倍も何千倍も豊かな情報が得られるということでした。
研究とは新規性と有意性を追い求める「社会活動」ですので、とにかく成果を社会にアウトプットし(アウトプットしない研究は意味がない)、他の研究者の方から意見やクリティカルな批判を頂きたい! という希望が私の強いモチベーションでした。
当日の模様
私が52歳だからなのでしょう、会場の司会の方から「それでは、引網先生からの発表です」と紹介を受けまして、「いや、あのぉ、学生としての研究発表なんです」と伝えたところ、会場内になんとも言えない失笑が溢れまして、リラックスした雰囲気の中でプレゼンテーションを開始させて頂きました。
私の研究は、倉庫現場を対象として、倉庫ロボットの作業時間の最小化と、作業員の作業時間の最小化で構成される「多目的非線形最適化問題」を量子アニーリングの基本モデルであるイジング模型を用いて求解し、倉庫センター長にとっての課題である、人にとってもロボットにとっても、最適な商品配置計画を明らかにしたものです。過去のブログもご覧ください。
聴講してくださった方から、「他のアルゴリズムやSolverと比べて、求解に要する時間はどれだけ短縮されたのか?」「数理最適化と比べて、精度はどれほど良いのか?」「倉庫ロボットの台数が増加した場合にも汎用的に使えるのか?」といった鋭いご質問を頂きました。私の回答はたじたじでしたが、「質問は相手への最大の敬意」と言いますので、何よりご関心を寄せて頂いたことは本当にありがたかったです。ありがとうございました!
登壇してみて
実は、発表当日(5月31日)は、台風1号の影響により天気が悪く、「オンラインでの発表にしちゃおうかな」という考えが頭をよぎったのですが、エイっと新幹線に飛び乗って、現地で発表してきて本当に良かったです。登壇することで、論文に纏めたり、プレゼンテーション資料を作成したり、質疑応答を準備したりと、自分の頭を整理することもできました。
研究もしかり、仕事もしかり、いたずらに時間をかけて、完璧なモノを作り込んでからアウトプットするより、不完全なプロトタイプであっても、なるべく早期にアウトプットすることで、マーケットからのフィードバックをいち早く得て、短いサイクルでどんどん修正を繰り返していく、というスタイルが重要かなと思っています。
と、浜松名物の鰻を食べながら、そんなことを感じる日となりました。ちなみに、山椒は東京より舌にピリッと来ました。とても美味しかったです(鰻を食べられたので、現地参加して良かったです!)。