米国時間の2025年1月15日に「Google AI の優れた機能を Google Workspace の Business プランと Enterprise プランに組み込むことを決定しました 」でもアナウンスされた Gemini が、ついに当社内でも利用が始まりました。Chatbot Arena で常連の Gemini モデルが業務で使えるようになり、とても熱い展開なのでブログ化しました。
はじめに こんにちは。tanai(棚井龍之介) です。
先日、ある企業さんのオフィスへ訪問した際に、「ウチでは、〇〇(←誰もが知っている生成AIサービス)は、全員にアカウントが支給されているよ」という話を伺い、とても羨ましいなと思っていました。私の場合、業務外で ChatGPT Plus 、Felo Pro 、Gemini Advanced 、Mapify Pro を中心に課金して、他サービスもお試し利用しながら生成 AI ライフを送っています。
これらのツールが業務内で使えたら、どれほど効率化できるのだろうかと考えていたところ、ついに社内で Geminiの利用がスタート しました。Gemini Advanced と同様なので、「1.5 Pro with Deep Research」「2.0 Pro Experimental」「2.0 Flash Thinking Experimental」などの AI モデルが業務で使えるようになりました。各モデルの使い方はインターネット上でいくらでも見つかりますので、その利用例に追加する形で、私の利用例を説明します。
上手な AI の使い方を、AI に質問する 「上手な AI の使い方を、AI に質問する 」というのが、AI を手軽に活用する方法だと思います。
例えば、「1.5 Pro with Deep Research」は、プロンプトで与えた特定のトピックに対して、インターネット上の情報を収集してレポートを生成してくれる機能です。「プロンプトを与える」ということは、Few-shotプロンプティング や Chain-of-Thoughtプロンプティング などの「プロンプトエンジニアリング 」のノウハウがあると、より良いアウトプットが得られます。しかしながら、これらのテクニックを習得せずとも 「2.0 Flash Thinking Experimental」に「1.5 Pro with Deep Research へ投げるプロンプトを生成してもらう」 ことも可能です。
実践例: トレンド分析 「マイクロサービスのトレンド」を調査して欲しい場合、以下のフローとなります。
「2.0 Flash Thinking Experimental」に投げたプロンプト
マイクロサービスのトレンドについて「1.5 Pro with Deep Research」に調査してもらうプロンプトを作成してください。
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はい、承知いたしました。「1.5 Pro with Deep Research」にマイクロサービスのトレンド調査を依頼するためのプロンプトを作成します。以下プロンプト案です。 --- **プロンプト:** **宛先:** 1.5 Pro **依頼事項:** マイクロサービスに関する最新トレンドの深掘り調査 **調査目的:** マイクロサービス技術は、現代のソフトウェア開発において重要なアーキテクチャパターンとして広く採用されています。本調査の目的は、マイクロサービスに関する最新のトレンドを詳細に把握し、今後の技術選定や戦略策定に役立てるための知見を得ることです。特に、技術的な進化、アーキテクチャの変遷、運用方法の進化、ビジネスへの影響など、多角的な視点からトレンドを深く理解することを目指します。 **調査範囲と内容:** 以下のテーマに焦点を当て、マイクロサービスのトレンドを深掘り調査してください。各テーマにおいて、現状、背景、具体的な事例、将来展望を含めて分析し、詳細なレポートとしてまとめてください。 1. **技術トレンド:** * **コンテナ技術とオーケストレーション:** Kubernetes、Docker Swarm、Nomadなどの最新動向、進化、ベストプラクティス * **サーバーレスマイクロサービス:** AWS Lambda、Azure Functions、Google Cloud Functionsなどの利用状況、ユースケース、アーキテクチャパターン * **サービスメッシュ:** Istio、Linkerd、Consul Connectなどの導入状況、メリット・デメリット、運用課題と解決策 * **APIゲートウェイ:** 最新のAPIゲートウェイ技術、進化、セキュリティ、パフォーマンス最適化 * **イベントドリブンアーキテクチャ (EDA):** Kafka、RabbitMQなどのメッセージング技術を活用したマイクロサービス間連携のトレンド、設計パターン * **GraphQL:** マイクロサービスにおけるGraphQLの採用状況、REST APIとの比較、ユースケース * **バックエンド・フォー・フロントエンド (BFF):** BFFパターンの最新動向、具体的な実装例、メリット・デメリット * **マイクロサービスフレームワーク・言語:** Spring Boot、Micronaut、Quarkus、Go、Rustなど、最新のフレームワークや言語の利用トレンド、選定基準 2. **アーキテクチャトレンド:** * **モノリシックからマイクロサービスへの移行:** 移行戦略、成功事例、アンチパターン、段階的移行のアプローチ * **マイクロサービスアーキテクチャの進化:** 分散トレーシング、サービスディスカバリ、サーキットブレーカーなどの実装パターンの成熟度、新たなアーキテクチャパターンの出現 * **マルチクラウド・ハイブリッドクラウド環境でのマイクロサービス:** 異なるクラウド環境でのマイクロサービス展開の課題とソリューション、ベストプラクティス * **エッジコンピューティングとマイクロサービス:** エッジ環境におけるマイクロサービス活用、ユースケース、アーキテクチャ設計 3. **運用トレンド:** * **DevOpsとマイクロサービス:** CI/CDパイプラインの進化、自動化、インフラストラクチャ・アズ・コード (IaC) の活用 * **マイクロサービスモニタリング:** 分散トレーシング、ログ集約、メトリクス収集・分析の最新ツールと手法、可観測性 (Observability) の重要性 * **セキュリティ:** マイクロサービスにおけるセキュリティ対策の進化、APIセキュリティ、認証・認可、コンテナセキュリティ * **Fault Toleranceとレジリエンス:** サーキットブレーカー、リトライ、バルクヘッドなどの実装パターン、障害回復性の向上 4. **ビジネス・組織トレンド:** * **マイクロサービス導入の目的と効果:** ビジネス上のメリット、導入事例、ROI (投資対効果) の評価 * **組織構造とマイクロサービス:** マイクロサービス導入に伴う組織文化、チーム編成、DevOps組織への変革 * **マイクロサービス成熟度モデル:** 導入フェーズ、成熟度段階、成熟度向上のためのステップ * **マイクロサービス関連のコミュニティとエコシステム:** 主要なコミュニティ、イベント、オープンソースプロジェクト、ベンダーの動向 **調査方法:** * 技術系ニュースサイト、技術ブログ、業界レポート、カンファレンス資料、学術論文、ベンダー資料など、信頼性の高い情報源を幅広く参照してください。 * GitHub、Stack Overflowなどの開発者向けプラットフォームでの議論やトレンドも分析に含めてください。 * 必要に応じて、専門家へのインタビューやアンケート調査も検討してください。 * 定量的なデータ(統計情報、導入率、成長率など)と定性的なデータ(専門家の意見、事例分析など)をバランス良く収集し、分析してください。 **成果物:** 以下の内容を含む詳細な調査レポートを提出してください。 * **エグゼクティブサマリー:** 調査全体の概要と主要なトレンドを簡潔にまとめたもの * **詳細レポート:** 上記の調査範囲と内容に基づいて、各テーマの詳細な分析、現状、背景、具体的な事例、将来展望を記述したもの * **主要トレンド一覧:** 調査結果から明らかになった主要なトレンドをリスト形式でまとめたもの * **提言・示唆:** 調査結果を踏まえ、今後のマイクロサービス技術の活用や戦略策定に関する提言や示唆 **その他:** * 調査の過程で疑問点や不明点があれば、遠慮なく質問してください。 * 必要に応じて、調査の進捗状況を報告してください。 * レポートは、技術者だけでなく、ビジネスサイドの担当者にも理解しやすいように、専門用語を適切に解説し、図表やグラフを効果的に活用してください。 **期待する成果:** この調査を通じて、マイクロサービス技術の最新トレンドを深く理解し、技術戦略、アーキテクチャ設計、運用方法、組織変革など、多岐にわたる領域での意思決定に役立つ知見が得られることを期待しています。 --- **プロンプトのポイント:** * **明確な指示:** 宛先、依頼事項、調査目的、調査範囲と内容、調査方法、成果物、納期などを具体的に記述し、1.5 Proが何をすべきかを明確に指示しています。 * **詳細な調査範囲:** 技術トレンド、アーキテクチャトレンド、運用トレンド、ビジネス・組織トレンドの4つのカテゴリに分け、さらに具体的な調査項目をリストアップすることで、調査の焦点を絞り込んでいます。 * **深掘り調査の要求:** 各トレンドについて、現状だけでなく、背景、具体的な事例、将来展望を含めた分析を要求することで、「Deep Research」にふさわしい深さのある調査を促しています。 * **具体的な成果物:** エグゼクティブサマリー、詳細レポート、主要トレンド一覧、提言・示唆など、具体的な成果物の形式と内容を指定することで、期待するアウトプットを明確にしています。 * **ビジネス視点の包含:** ビジネス・組織トレンドの調査項目を含めることで、技術トレンドだけでなく、ビジネスへの影響や組織変革といった視点もカバーしています。 * **表現:** 丁寧な言葉遣いを心がけ、依頼する姿勢を示しています。 このプロンプトを「1.5 Pro」に渡すことで、期待されるレベルの高いマイクロサービストレンド調査が実施されることを期待しています。
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「1.5 Pro with Deep Research」に「依頼事項 ~ 期待する成果」までを投下する
実際にどのような調査レポートが出力されるかは、読者みなさんの Gemini 環境で試してみてください!
以下2パターンの
自力でプロンプトを作成して、1.5 Pro with Deep Research に投げた場合のアウトプット
「プロンプトの作成自体を 2.0 Flash Thinking Experimental に依頼して」その結果を 1.5 Pro with Deep Research に投げた場合のアウトプット
を比較すると、後者の手法により「高度なプロンプトエンジニアリングの知識がなくても 」低コストでレベルの高いプロンプトが作成できます。「プロンプト自体をAIに作らせる」ことも Tips の1つとして試してみてください。
おわりに Gemini が社内利用可能となったので、勢いでブログを執筆しました。
生成 AI サービスは、各ツールやモデルごとに「得意領域」がありますので、それらの「強みを組み合わせる」ことで、より効率的にアウトプットが得られると感じています。また、本ブログの「上手な AI の使い方を、AI に質問する」のように、知っていれば誰でも試せる ことが多くあると思いますので、「Gemini の Note 公式アカウント 」などの活用事例が参考になります。
今後は、Geminiを活用して、ストーリーラインの草案作成、メール返信文の作成、アウトプットの校正など、さまざまな業務を効率化していきたいと考えています。また、冒頭で「ウチでは、〇〇(←誰もが知っている生成AIサービス)は、全員にアカウントが支給されているよ」と記載したように、業務内で「どの言語モデルが利用できるのか?」が、今後は重要なポイントになると思いました。