フューチャー技術ブログ

製造現場DX展(同時開催展) 参加レポート

はじめに

皆さん、初めまして。入社1年目、製造・エネルギー事業部の神谷 祐莉加です。

2025年9月10日(水)~12日(金)に東京ビッグサイトで開催された製造現場DX展(同時開催展)に参加してきましたので、当日の様子をレポートします!

イベント概要

会場では合計5つの展示会が同時開催されており、全て見てまわることができました。企業ブースとセミナー会場があり、来場者は3日間で約51,094名にも上りました。

  1. 「測定計測展2025」(来場者数9,643名/3日)
    • 測定・計測関連の機器・技術・情報が一堂に集まる。国内唯一の展示会
  2. 「TEST2025」(来場者数9,027名/3日)
    • 材料試験&環境試験と計測、評価に関する国内唯一の総合展
  3. 「第27回自動認識総合展」(来場者数8,132名/3日)
    • 国内唯一の自動認識技術、ソリューションの専門展示会
  4. 「SENSOR EXPO JAPAN」(来場者数6,877名/3日)
    • 社会の課題をセンシング技術で解決。センシングの新たな可能性を発信する専門展
  5. 「製造現場DX展」(来場者数2,208名/3日)
    • 製造業の現場業務におけるデジタル化、製造現場の必要なDXに関連するシステムやサービスを推進する展示会
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セミナー聴講

今回は、株式会社エスマットの林氏による「製造DXの誤解と成功要因」というセミナーを聴講しました。

講演で特に心に残ったのは、DXを成功させるための考え方についてのお話です。DXを単なるデジタル化(D)と捉えたり、投資対効果を人件費削減だけで測ったりしてしまうことを「DXの誤解」として説明していました。

特に印象的だったのは、DXの「D」(デジタル化・効率化)は、あくまでも「人にできることの置き換えに過ぎない」ということ。本当の変革Xは、人間業を超えることで、新たな価値を生み出すことにあるというお話でした。そして、成功の鍵は「技術ありき」ではなく、「現場の悩みから始めること」だと強調されていました。

  • DXの誤解
    1. DX=ただのデジタル導入(D)
    2. ROI=単純な人件費削減
    3. 目的なくデータを集める「集めましたIoT」
    4. デジタル=プログラミング(市民開発の乱立)
  • DX成功要因
    1. 技術ではなく、現場の悩みから始める
    2. 人間にできないことをデジタルで実現する
    3. 日本の製造現場にあった柔軟なDXを導入する
    4. 草の根からDXを広げる外部との共創

展示会で感じた3つの主要トレンド

展示会を回る中で、製造業の未来を形作る3つの大きなトレンドを感じました。

1.AI画像認識

これまで、製造現場の目視検査や数量カウントは、多くの人手と時間がかかる作業でした 。しかし、AI画像認識によって、これらの業務を自動化・効率化できるソリューションが増えています 。

マーストーケンソリューションさんの「VisAI画像検査」は、AIカメラを使って目視検査を自動化するソリューションです。スマートフォン版もあり、手軽に導入できるのが強みだと感じました 。

Solitonさんのブースでは、自動車生産工程でタイヤの製造番号をAIで読み取り、QRコードと照合したり「カチッ」という音をAIが認識するまでOKとならないなど、人為的なミスを防ぐ仕組みが紹介してくださいました 。

このように、AI画像認識は、人の作業を置き換えるだけでなく、品質向上やミスの防止にも貢献する、重要なツールになっていると感じました 。

2.RFIDの多様な活用

従来のRFIDは、商品のID管理が中心でした 。しかし今では、「モノの状態をデータ化する」ためのセンサーとして活用されるようになっています 。

TOPPANさんのブースでは、「開閉検知タグ」が紹介されていました。これは、ワインボトルや化粧品、医薬品などに適用することで、未開封かどうかを確認できます 。

また、「温度センサー付きRFIDタグ」も展示されていました。これを産業機械の軸受などに取り付けて温度情報を取得し、AIと組み合わせることで、故障の予兆を検知する「予知保全」に応用できるとのことです 。

RFIDがIDだけでなく、センシング機能を持つことで、モノの状態をリアルタイムに把握し、新たな価値を生み出していることがよくわかりました 。

3.ハンディリーダーのスマートフォン化

従来の専用機は高価で、操作に慣れる必要がありましたが、今は使い慣れたスマートフォンに機能を統合する流れが加速しています 。

デンソーさんは、長年のノウハウで培った堅牢性や高速読み取り性能を維持しつつ、OSをAndroidに変更することで、誰もが直感的に使える端末を提供しています 。Xmare

一方、Urovoさんは、見た目や使い方が一般的なスマートフォンに非常に近い製品にリーダー機能を組み込むことで、手軽な導入を可能にしています 。UROVO DT610

このトレンドは、導入コストを抑えつつ、現場のDXを加速させる鍵になると感じました 。

さいごに

正直なところ、製造業界や自身の業務に対する知識不足を痛感する場面もありました。でも、だからこそ、色々な展示を実際に見て回ったり、業界の方と直接お話したりできたのは、本当に貴重な経験だったと感じています。

今回の展示会で得た多くの気づきを、今後の業務に活かしていきたいです。