はじめに
初めまして。2025年10月入社、製造・エネルギー事業部の佐々木です。
2026年3月17日(火)~19日(木)に東京ビッグサイトで開催されたSMART ENERGY WEEK春に参加してきましたので、当日の様子をレポートします!
イベント概要
SMART ENERGY WEEK春は世界最大級の新エネルギー総合展であり、水素・燃料電池、太陽光発電、二次電池、スマートグリッド、洋上風力、バイオマス発電、ゼロエミッション火力などあらゆる技術が出展し、世界各国から専門家が来場する展示会です。
SMART ENERGY WEEK春では以下の7つの構成展が開催されており、3日間で累計63,274人が来場しました。
- SMART GRID EXPO スマートグリッド展
VPPを実現する技術やエネマネ・蓄電池などの設備が出展する電力システムの総合展。 - PV EXPO 太陽光発電展
太陽光発電所の建設から保守・運用に係るあらゆる製品が出展。 - BATTERY JAPAN 二次電池展
二次電池の研究開発、製造に必要なあらゆる技術、部品・材料、装置、二次電池が出展。 - H2 & FC EXPO 水素燃料電池展
水素・燃料電池の研究開発、製造に必要なあらゆる技術、部品・材料、装置、燃料電池システムが出展。 - WIND EXPO 風力発電展
北海道から九州まで全国の風力発電の専門家、技術者が来場。 - BIOMASS EXPO バイオマス展
北海道から九州まで全国のバイオマス分野の専門家が来場。 - ZERO-E THERMAL EXPO ゼロエミッション火力発電展
電力・ガス会社、発電事業者、プラントメーカーなど火力発電の専門家が全国から来場。
会場の様子(公式YouTubeより)
セミナー聴講
今回のイベントでは2つのセミナーを聴講しました。そこで見聞きしたことを記します。
AI時代の電力システムと「ワット・ビット連携」
世界的に増加する電力需要とボトルネック
産業、空調、データセンターなどにより世界の電力需要が大きく伸びている。また再生可能エネルギーや原子力による発電量は過去最高を記録し、2030年までには世界の電力の半分が再生可能エネルギーや原子力で作られるようになる。
しかし、送電網への投資は発電容量への投資に追いついておらず、現状、ボトルネックとなってしまっている。
データセンターに係る課題とワット・ビット連携
世界的にも、日本国内でもAIの利活用の増加に伴いデータセンターの需要が急増している。
そんな中、電力系統の接続に時間を要し、データセンター新設に10年以上かかってしまうことで、海外に投資が流出する恐れがある。
そこで既存の電力インフラ、脱炭素電源に接続しやすい地域にデータセンターを誘致し、電力インフラにあわせて通信インフラを整合的に整備する「ワット・ビット連携」を行うことが非常に重要になってくる。
フィジカルAIとデータセンター
現在日本では、「ワット・ビット連携」の政策が行われている。
コンビナート跡地、脱炭素電源集積地などにデータセンターを各地に集積させ、さらに周囲の工業地帯がデータセンターを利用する新たな産業クラスターを日本各地に作ることが計画されている。現在の東京、大阪にデータセンターを集中させるのではなく、地域分散型で配置を行う。
日本の産業はフィジカルAIと親和性があり、データセンターの活用が今後の経済の発展に必要不可欠となる。フィジカルAIを最大限活用するには通信速度を可能な限り速くする必要があり、その観点からも、地域分散型でデータセンターを配置することは一極集中型にデータセンターを配置することよりも非常に有用である。
分散型電源時代の系統運用とアグリゲーション
GX政策により変化した電力インフラの構造
従来の電力インフラはウォーターフォール型であり、大規模な火力発電所から需要側に向けて一方向に電気が届く構造であった。
近年のGX政策により、再生可能エネルギー電源が各所に作られ、そのウォーターフォール型構造が変化している。これにより下流(需要側)にも発電所ができ、電気の流れが双方向化した。
変化した電力インフラの構造が抱える課題
ウォーターフォール型の構造が崩れ、電力の流れが双方向化することによって次の課題が起きてしまう。
- 電気の流れが双方向になり混雑が発生する。
- 特定の地点、特定の時間で混雑が発生する。
- 送電網のキャパシティに限界があり、混雑を回避するために出力制御が行われる。(実質的に電気を捨てる)
太陽光発電を例にすると次のような具体例となる。
- 火力発電所と太陽光発電所の双方から電気が作られ、電流が双方向から流れる。
- 太陽が昇っている日中(特に正午)に太陽光発電所の発電量が増え、一時的に送電網のキャパシティの上限に達する。
- 結果として発電量の出力制御を行い、機会損失が生まれる。
実際に2026年の九州電力の出力制御の見込みは年間発電量の6.9%(12.2億 kWh)となる。(出典:2026年度出力制御見通しについて 九州電力送配電㈱)
その他の地域の出力制御量が気になる方はこちら。
ローカルバランシングによる課題の解決
上記の混雑を解消するには送電網のキャパシティを増やすことが必要である。
しかし送電網のキャパシティを発電量が超えるのは一時的なものであるため、送電網に対する投資効果は非常に悪いものとなる。
そこで解決策として考えられるのが「ローカルバランシング(ローカルフレキシビリティ/バランシンググループ)」という考え方である。ローカルバランシングとはITと蓄電池を活用し、特定の地域や系統(ローカル系統)内での再生可能エネルギーの需要と供給を調整し、安定させることである。
ローカルバランシングは以下のような流れで行われる。
- IT(スマートメーター)により混雑の発生を検知し、出力を制御するのではなく、蓄電池に向けて電気の流れを切り替え、電気を貯める。
- 発電量が少なくなり、送電網のキャパシティに余裕が生まれたら蓄電池に貯めた電気を放出する。
- 最終的に既存の設備の価値を最大限活用できる。
まとめと感想
今回聴講した講演ではどちらも、電力に関する投資は「作る」から「貯める」や「運ぶ」に移り変わっていることを強調していました。
また今回のSMART ENERGY WEEK春でもSMART GRID EXPO スマートグリッド展の会場が最も広く、出展企業も多く、会場の雰囲気としても
「貯める」や「運ぶ」に関するソリューションの盛り上がりを感じられました。
以上、SMART ENERGY WEEK春の参加レポートでした。