TIGの伊藤真彦です。
この記事は秋のブログ週間連載の第2弾です。
はじめに
読書の秋、読書と言えばオライリー、オライリーと言えばわれらが渋川よしきさん著、Real World HTTP 第2版の発売から早くも半年が経過しました。
はい、いきなり宣伝です、皆さんお手に取っていただけましたか。
インターネットで必要な情報が無料で手に入る時代ですが、体系的、網羅的な知識を学ぶという意味では技術書の存在意義は健在だと感じています。誰もがお世話になっているHTTPプロトコルの技術と歴史について、この秋に改めて触れてみるのも良いかもしれません。
ちなみに私が初めて読んだオライリーの書籍はSRE サイトリライアビリティエンジニアリングです。
Googleのシステム管理、運用ノウハウが学べる、という大変興味深い書籍です。抽象的、かつ高度な概念の翻訳という意味で理解するのに骨が折れるトピックですが、日々の業務への意識を変える良いきっかけになる1冊でした。
そんな技術書籍の毛色が強いオライリーですが、ヘルシープログラマ――プログラミングを楽しく続けるための健康Hackが、リモートワークが広まった2020年に再認知されるなど、思わぬ側面に切り込んだ書籍の存在に驚かされることがあります。
そこで、いったい何故この本がオライリーから、そう言いたくなる書籍を調査、ピックアップしてみました。
読書の秋のお供にいかがでしょうか。
1. Cooking for Geeks 第2版 ――料理の科学と実践レシピ
オライリー伝説の料理本。
いったいどのような経緯で執筆されたのか、タイトルの通り徹底的にギークな目線で料理を語る1冊です。
目次の時点で通常の料理本とは一線を画している事が伝わってきます。第2版が出るのも納得、ギークな皆さんなら間違いなくお楽しみいただける名著です。
2. 家庭の低温調理 ――完璧な食事のためのモダンなテクニックと肉、魚、野菜、デザートのレシピ99
オライリーには料理シリーズがあるようです。料理の中でもとりわけ低温調理に焦点を絞った書籍です。
「世界初の家庭用投げ込み式サーキュレーターを独力で製品化した著者」が執筆と紹介文にも書いてあることからオライリーから出版されるだけの事情を感じます。
低温調理といえばフューチャー技術ブログでもダイエット食のブレイクスルー!低温調理器を自作して鶏むね肉を美味しく食べるという記事があります、何故機械から作ってしまうのか。
3. 発酵の技法 ――世界の発酵食品と発酵文化の探求
料理シリーズはさらなる深みへ、発酵というトピックをまとめた本書は技術者ではなく、プロのフードライターであるSandor Katz氏の著作です。
Sandor Katz氏は自らを”fermentation fetishist”(発酵フェティシスト)と自称し、発酵の技法以外にもWild Fermentationを執筆する発酵のオーソリティです、理解が追い付きませんが権威あふれる書籍が堂々爆誕。
前述の2冊に劣らず強烈なパワーを感じる一冊です。
4. 子どもが体験するべき50の危険なこと
技術書、ノウハウ本としてのプロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと、ゲームクリエイターが知るべき97のことと同じテンションで送り出されつつ、明らかに異彩を放つ1冊。
子供が「本当の危険を見きわめる力」と「それに対処する力」を身に着けるために精選された50の知見は人生を豊かにしてくれる事でしょう。
5. ギークマム ――21世紀のママと家族のための実験、工作、冒険アイデア
子供の本があるならママの本がある。
タイトルのギークマムとは文字通りギークであり母である人物を意味します。そんなギークマムの我が子への接し方、時には非オタクのママ友とのつきあい方を記した本書は該当するママのバイブルとなる1冊かもしれません。
6. マイクロシェルター ――自分で作れる快適な小屋、ツリーハウス、トレーラーハウス
クールなタイトルですが、これはこれで今までと異なる存在感を放っています。
少ない材料、時には廃材を利用し、隠れ家やツリーハウスを建築するノウハウがまとめられています。OSS貢献で、個人開発で輝くのも素晴らしいですが、時には物理的に同僚とは一味違った人材を目指してみましょう。個人的にはワクワクするトピックです。
7. 生き物としての力を取り戻す50の自然体験 ――身近な野あそびから森で生きる方法まで
マイクロシェルターに続きワイルドライフな本がありました。
山奥で暮らすワイルドハッカーによる海外初の書籍と思いきや、カシオ計算機株式会社監修のもと33人のスペシャリストが結集した作品です。「自然体験のアイデア集」と称する本書は仕事で疲れた時におススメの1冊かもしれません。
8. 世界チャンピオンの紙飛行機ブック
まさか紙飛行機の本があるとは…
間違いなく紙飛行機です、1枚の紙を折って作るアレの本です。紙飛行機の折り方にとどまらず、世界記録への挑戦ドキュメンタリーも綴られた1冊です。
9. どろどろこねこねで楽しい! 手作りスライムとこむぎねんどの本
オライリー感がダントツで低い表紙を誇る1冊。101種類にわたるスライム、ねんどの作り方が紹介されています。
10. 退屈をぶっとばせ! ――自分の世界を広げるために本気で遊ぶ
最後に紹介するのは、10代の少年少女に伝えたい事が詰まった1冊。
自分自身にとって意味のある人生を作りたい、それは技術を超えた最も重大なテーマではないでしょうか。一体オライリーは何の目的で技術書らしからぬ本を出すのか、その答えが「退屈をぶっとばせ」というタイトルにあるのかもしれません。
まとめ
オライリーってたまに変わった本を出版しているな、と前々から思っていたのですが、この機会に調査したら見事10冊紹介できる記事になりました。
プレゼントに、気分転換に是非お買い求めください。
なおこの記事は企業としての公式な宣伝ではなく私の趣味で書いています。