フューチャー技術ブログ

がんばらない手ぶらオンライン勉強会

読書会とか勉強会をやるときに、どうしても負担が大きくなってくると継続が面倒になってきて消滅してしまったりします。継続のためには負担を減らすことが大切だな、と昔から考えてきました。最近実践している勉強会の時間以外の負担をなるべく減らす方法をいくつか紹介します。

とちぎRuby式読書会

これは僕が栃木に住んでいた時に参加していた、とちぎRuby方式の勉強会です。対象の本を決めて、順番に音読しつつ、気になったところは質問したり、という方式です。事前に本を読んでまとめたりとかは不要です。

知見のある人が参加すると勉強会で得られるものはぐーんと濃くなります。とちぎRubyでは著者の咳さんがいる中でのdRuby本の読書会だったのでめちゃくちゃ刺激がありました。ちょっと経験値の高めな人が何人か入れるのが成功の秘訣かと思います。ただ、経験値が高い人が多すぎると、l本とかから脱線しまくって、その人達の間の雑談で終わってしまいそうな気もするので、バランスも大切かもしれません。

この方式は密度の濃いドキュメントとか行間が広い文章を読むには適切かと思います。一方で、時間がかかるので「この部分はスキップしましょうか?」みたいなこともうまく入れるといいと思います。

この方式は、最近お客様とReactの公式ドキュメントの読書会をしていて採用しました。僕がちょうどクラス方式とか旧Reduxとか現Redux Toolkitとかいろいろ経験はしていたので、うまく盛り上げられたり、「ここは昔のクラス方式の話なので軽く読み飛ばしましょう」とか言えて、良い勉強会にできているのではないかな、と思っているところです。

Amazon方式読書会

Amazonの会議方式として検索するとすぐ出てくるのが「まず黙読」というスタイルです。僕はAmazonで仕事したことはないので本当の公式なやり方はわからないのですが、15分とか時間を決めて黙読し、黙読しながらチャットに気になるところをコメント、その後30分とかで議論をする、みたいなスタイルで勉強会は行いました。

世の中の平均的な人は、音読する速度でしか文章の黙読もできないらしいのですが、まあ大学出ている人たちとかITの仕事をしている人ならほとんどは音読の数倍の速度で読めるはずなので、ゆっくり音読よりはちょっと長めの文章を短時間で進められます。本の1章(20-40ページ)を1回で、進めるみたいな感じでやりました。

この方式は議論が中心となるので、まったくの初心者からの勉強会には向かないかもしれません。書かれたコメントを拾ってファシリテーションしつつ、なされた議論も文章化してログに残したりと、ちょっと会議チックなスキルは必要になります。

ちょうど今、フューチャーメンバーと一緒に本を書いていて、その本のレビュー会をこの方式で行いました。直前にPDFを共有し(直前まで修正したりするので直前じゃないと共有できない)、黙読して議論し、それをissue化する、といった感じでした。

その真ん中方式

黙読だと最初ちょっと黙ってしまうので、勉強会コンテンツというのを考えると、一般受けはあんまりしなそう、しかもコンテンツが英語だとじっくり音読も厳しいだろいうということもあり、順番に音読はするものの、ちょっと飛ばし気味にダイジェストで読んで議論する、みたいな方式にすれば社外向け勉強会でもできそうだ、という議論の末行ったのが先日行ったGo 1.18リリースノートを読む会の方式です。

ここ最近はGoリリースに合わせて会社のメンバーと技術ブログの連載を行っているのですが、その準備としてリリースノートを読んでおきたいね→勉強会にしようか→どうせなら社内に限定する必要ないし公開しちゃえ、という流れで企画しました。通常のフューチャーのTech Nightなんかは1か月近く前にはコンテンツを決めてConnpass上で募集をして・・・という感じでしたが、今回は実質作業は1週間ぐらい前から動いて、という感じでした(真野さんが全部やってくれました)。やろうということ自体は昨年末ぐらいから話はしてましたが、スライドとかも作らず、軽く事前に流し読みするぐらいで臨みました。

本当は音読も社外の人にも参加して欲しい気持ちはあった(当日も声掛けはしたが)のですが、いきなりだとそれも難しかろう、ということで一応フューチャーメンバーだけで回せるように場所ごとの担当を浅く決めていました。

なお、議論方式なので、今回はZoomのウェビナーではなく、ミーティングとして行っています。全員が発言できてしまうので、いきなりマイクオンでマツケンサンバとか歌いだす人がいると破綻したりというリスクもあり、人数が多すぎても難しいかも、ということで40人にさせてもらいました。

一人で読むのと比べると、何人かで読むとわからないところもコメントもらえたりしてみんなで読むのは確かにメリットはありました。また、当日参加した知人からは「勉強になりました」とコメントいただいたので、参加された方からも喜んでもらえたと思います。こちらのイベントのYouTube公開などは準備中ですので、お待ちください。

まとめ

ここ1-2か月ぐらいで試しているいくつかの方式について紹介しました。それぞれ、勉強会で扱うコンテンツの質やメンバーのスキルなど、いろいろな要因でメリット・デメリットが出てくるかと思います。今のところ、どれも成功したな、という実感はありました。僕はいぜん、つまみぐい勉強法という本を共著で出しましたが、勉強会への参加も、勉強そのものも、「燃え尽きないこと」が一番大事だというのが、書籍を書くにあたって考えたことでした。本が出てからもう12年ですが、当時から「勉強会疲れ」ということは言われていました。移動時間もないオンラインの「準備がいらない(少ない)手ぶら勉強会」というのは、当時では到達できなかったもう1つのテクニックですね。

今回書いたのは、どれもオンライン勉強会での開催を前提としています。オフラインでもできるとは思いますが、それはまたコロナが納まって、やってみて、新しい知見が見つかったらまたブログに書こうと思います。

参考リンク