春の入門祭り2025の20本目の記事です。

はじめに
こんにちは。TIG(Technology Innovation Group)の長谷川です。2025年11月にWeb系企業からの転職でキャリア入社し、現在は主にフロントエンド開発を担当しています。
新しいプロジェクトで支給されたのはPCはWindows。大学入学以降、約10年間MacBookを使い続けてきた私にとっては、高校生以来となるWindowsとの再会です。
私物のマシンはMacBookのUS配列である一方で、支給PCはWindowsのJIS配列。
この差がなかなかにつらく、正直、チャットすら満足にできない状態でした(入社して一番苦戦したポイントかもしれません…w)。
そこで、Windowsを徹底的にMacBookに近づけ、快適な作業環境を構築することにしました。そのプロセスを詳しく紹介します。
「Mac派だけど諸事情でWindowsに触れることになった」方はもちろん 「元々Windowsユーザだけど便利な設定を知りたい」という方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
前提
MacユーザーがWindows環境で快適に作業するためのアプローチは、以下の3つに大別できます。
- A. Windowsに慣れる
- B. 双方で統一的に使える環境を整える
- C. WindowsをMacに寄せる
今回は Cの「WindowsをMacに寄せる」方針 で進めています。
なお、使用するOSはWindows 11です。
目指す使用感
普段のMacBook使用スタイルは非常にシンプルで、「内蔵のキーボードとトラックパッドのみを使う」派です。BetterTouchTool(以下BTT)でジェスチャーを割り当て、さまざまな操作を実現しています。
MacBookの使い方から離れないために、Windowsをカスタマイズをしていく上でのポリシーを以下とします。
- マウスは使用しない
- キーボードは持ち運ばない
最初は外付けキーボード自体を使わないつもりでしたが、現在はリモートワークの際には分割キーボードを利用しています。
トラックパッド
最初に取り組むのは、トラックパッドのつらさへの対処です。
トラックパッドにおける課題はクリックの重さ。これはWindowsでもデバイスによると思いますが、支給PCのデバイスはクリック時に必要な力が少し大きく若干ストレスでした。
自宅にMagic Trackpadがあったため、Windowsでも利用できるか調査したところ、問題なく使えそう。導入方法については以下の記事を参考にさせていただきました。とくに複雑な設定は不要で簡単に利用できます。
cf. Windows 11 で Apple Magic Trackpad を快適に使う方法
これでまずはトラックパッドがMacに近づきました🎉
Windowsの設定をMac風に
Magic Trackpadの導入により、カーソルの操作性が向上しました。
キーボードを改善する前に、各種設定を調整してMacに近い使用感を目指します。
以下に主な設定を記載しています。
- Bluetoothとデバイス > タッチパッド
- カーソル速度:
10
- カーソルは速さが正義💨
- タップ
- タッチパッドの感度:
低い感度
- 1本の指でタップしてシングルクリックする:
ON
- 2本の指でタップして右クリックする:
ON
- 2回タップしてドラッグすると複数選択:
OFF
(誤動作することが多かったので) - 右クリックするにはタッチパッドの右下を押します:
OFF
- タッチパッドの感度:
- スクロールとズーム
- 2本の指をドラッグしてスクロールする:
ON
- スクロール方向:
ダウンモーションで上にスクロール
- ピンチ操作によるズーム:
ON
- 2本の指をドラッグしてスクロールする:
- ジェスチャ
- 3本指ジェスチャ
- タップ:
マウスの中央ボタン
(リンクを開くときに新規タブで開いたり便利です) - 上方向にスワイブ:
デスクトップの表示
- 下方向にスワイブ:
カスタムショートカット(Ctrl + W)
(タブを閉じる) - 左方向にスワイブ:
カスタムショートカット(Ctrl + Page Up)
(前のタブに移動) - 右方向にスワイブ:
カスタムショートカット(Ctrl + Page Down)
(次のタブに移動)
- タップ:
- 4本指ジェスチャ
- タップ:
通知センター
- 上方向にスワイブ:
タスクビュー
- 下方向にスワイブ:
カスタムショートカット(Ctrl + Shift + T)
(閉じたタブを復元) - 左方向にスワイブ:
デスクトップを切り替える
- 右方向にスワイブ:
デスクトップを切り替える
- タップ:
- MacではBTTを使って色々とジェスチャーを登録しています
- BTTほど柔軟ではありませんが、Windows公式の機能でそれなりに柔軟に対応できるのは嬉しい
- 3本指ジェスチャ
- カーソル速度:
- システム>クリップボード
クリップボードの履歴
をONに- MacだとBTTでクリップボード管理しています
- システム > マルチタスク
- ウィンドウのスナップ:
ON
- ウィンドウをスナップしたときに、次にスナップする対象を提案する:
OFF
- ウィンドウの最大化ボタンにカーソルを合わせたときにスナップレイアウトを表示する:
ON
- ウィンドウを画面の上部にドラッグしたときにスナップレイアウトを表示する:
OFF
- タスクビューのタスクバーアプリ上にマウスカーソルを移動したとき、そしてAlt+Tabを押したときに、スナップしたウィンドウを表示する:
ON
- ウィンドウをドラッグしたときに、画面の端までドラッグしなくてもウィンドウをスナップできるようにする:
ON
- ウィンドウをスナップしたときに、次にスナップする対象を提案する:
- スナップまたはAlt+Tabを押したときにアプリのタブを表示する:
(最新の3つのタブ)
- デスクトップ
- タスクバーに開いているすべてのウィンドウを表示:
すべてのデスクトップで
- Alt+Tabを押したときに、開いているすべてのウィンドウを表示:
使用中のデスクトップでのみ
- 💡Windowsの仮想デスクトップ使いづらいと感じていましたが、この設定をすることでMacと似た感じで使えるようになりました
- タスクバーに開いているすべてのウィンドウを表示:
- タイトルバーウィンドウのシェイク:
OFF
- ウィンドウのスナップ:
- アカウント > サインインオプション > 追加の設定
- 再起動可能なアプリを自動的に保存し、再度サインインした時に再起動する:
ON
(再起動前に開いていたアプリを再起動してくれる)- Macほどすべてが復元されるわけではなさそう
- 再起動可能なアプリを自動的に保存し、再度サインインした時に再起動する:
- 個人用設定 > タスクバー
- 検索:
検索ボックス
- ウィジェット:
OFF
- 検索:
- 個人用設定 > テーマ >デスクトップ アイコンの設定
- ゴミ箱をデスクトップから非表示に
- 何もないデスクトップは至高
- Google IME
- ことえりのショートカットを選択
- ことえりのライブ変換のような機能はなさそうでした・・・
- 後述するAutoHotKeyを使わない場合の英数/かなの切り替えはGoogle日本語入力の機能で対応できそう
- ことえりのショートカットを選択
キーボードの調整
US配列(Mac)とJIS配列(Windows)の差によるキーボードの課題は以下の3つ。
- 記号等の配置の違い
- 修飾キーの意味や使い方、配置の違い
- ショートカットキーの組み合わせの違い
最初はJIS配列のWindowsキーボードに慣れようとしたものの、Macの操作感からのギャップが大きく断念しました。
また、仮に慣れたとしても、今度はMacが使いづらくなってしまう。
そこでMac風の操作に近づける方向でキーボードを調整することとしました。
(Macの場合は大抵 command + ⚪︎
ですが、Windowsは操作によってWindows
Alt
Ctrl
を使い分ける印象がありますね。思想の違いがありそう。)
Change Key の活用
キーボード配列はそれぞれ以下のようになっています。
- MacBookのUS配列
fn
・control
・option
・command
・スペースバー
・command
・option
- WindowsのJIS配列
ctrl
・fn
・win
・alt
・無変換
・スペースバー
・変換
・カタカナ
・Copilot
このように並びが全然違っており、左手側を見ると、似た機能を持つことが多いcommand(Mac)
とctrl(Windows)
の位置が反対にあります。とくに使うことが多いコピペの配置が全く違うのでこれはかなり困りました。
そこで今回はChange Keyというソフトで配列を以下のように変更します。
- 無変換 →
Ctrl左
- 変換 →
Ctrl右
- カタカナ・ひらがな →
Alt右
これでMacと似た感覚でコピペできるようになりました🎉
📝参考記事:
- Mac 慣れした私に Windows が支給されたので、まず設定したこと | フューチャー技術ブログ
- 【Change Key】キーボードの割り当てを変更するソフトの使い方 | ナポリタン寿司のPC日記
ULE4JIS でUS配列風に
JIS配列を完全にUS配列で上書きするとたまに不都合があるため、ULE4JIS を導入し、必要に応じてON/OFFを切り替える方式を採用しました。スタートアップに登録して運用しています。
なお、Google Docsのショートカットに一部不具合がある等、少しバグがある(?)点には注意が必要です。
(箇条書きのショートカットは本来Ctrl + Shift + 8
だが Ctrl + Shift + 9
になってしまう)
今だとこちらを利用させてもらってもいいかも。
📝参考記事:
AutoHotKey による魔改造
Change KeyとULE4JISのおかげで普通にタイピングできるようにはなりました。
しかし、Macで染み付いたショートカットはWindowsで利用できません。
そこで、AutoHotKeyを使ってMacの操作感を再現しました。
具体例:
- ctrl(無変換/変換)単押しによるIME切替(左単押しで
英数
、右単押しでかな
) - Mac風のウィンドウ操作やショートカット
- 各種アプリ(Chrome・Excel・Slack)でのカスタム対応
コメント付きのコードを以下に添付するのでご参照ください。
main.ahk
をスタートアップに登録しておくと快適です。
main.ahk
#Requires AutoHotkey v2.0 |
applications.ahk
#Requires AutoHotkey v2.0 |
utils.ahk
#Requires AutoHotkey v2.0 |
configs.ahk
#Requires AutoHotkey v2.0 |
lib/IMEv2.ahk
https://github.com/k-ayaki/IMEv2.ahk/blob/master/IMEv2.ahk を利用させていただきました。
各種ツール
その他導入した便利なツールを紹介します。
- QL-Win/QuickLook: Bring macOS “Quick Look” feature to Windows
- MacのQuickLook的なもの
- 毎回ファイルを開かなくて良くなる(動作は少し遅いかも)
- Power Toys
- Microsoftが出しているユーティリティセット
- Power Toys Run
- Macでいうspotlight検索
- MacではRaycastを利用しています
- Windowsにもいつか来るかも → Raycast for Windows
- EveryThingのプラグインも導入
- Windowsで他に使えそうなランチャーアプリ
- Macでいうspotlight検索
- FancyZones(Power Toys)の設定
- 左1/3と右2/3でゾーンを作成して使用
- MacではRaycastでの「
First Third
とLast Two Thirds
」や「BTTのスナップエリア」を利用
- 他にもColor Pickerなど色々あるので必要なものを有効化して利用
- 参考たサイト
- Clibor | クリップボード履歴ソフト「Clibor」の公式サイト
- クリップボードアプリ
- MacではBTTのクリップボードを利用
- CliborだけでなくWindows公式のクリップボードの履歴も併用
- Cliborではリッチテキストや画像の履歴を保持できないため
- 「設定 > システム > クリップボード」でクリップボードの履歴をONにすると使えます
- Power ToysにAdvanced Pasteというのもあるのでそちらを利用する手も
- Cliborではリッチテキストや画像の履歴を保持できないため
- 設定内容
- 画面表示制御
- 画面表示時に1行目にフォーカスを移すを
ON
に
- 画面表示時に1行目にフォーカスを移すを
- ホットキー
- メイン画面の呼び出し:
Win + Ctrl + Alt + J
- AutoHotKeyが動いているとうまく設定できない場合があるので、その場合一時停止させる(設定後はAutoHotKeyを戻しても動作する)
- MacではBetterTouchToolのクリップボードツールを
Ctrl + Option + command + J
で開く- 最初は
command + Shift + V
にしていたが、Google Docsのショートカットなどと被るため、絶対に使わないキーに
- 最初は
- メイン画面の呼び出し:
- Cliborもスタートアップへ登録すると快適
- 画面表示制御
- クリップボードアプリ
- CubeICE
- Macであればダブルクリックでよしなにやってくれるが、Windowsは右クリックから展開しないといけない?
- 設定を以下のようにすることでMacと同じ操作感に
- 保存場所:
元のファイルと同じフォルダ
- 解凍後に保存先フォルダを開く:
OFF
- 保存場所:
- zipのデフォルトアプリをCubeICEに設定する
- VS Code
- Scroll Sensitivityを
3
にする(Editor, Workbenchの両方)- デフォルトだとトラックパッドでのスクロールが遅いため
- Scroll Sensitivityを
おわりに
今回紹介した設定やツールを駆使することで、WindowsをMacのように扱えるようになりました。
Windowsを使い始めて半年が経ちますが、業務終了後や休日にMacで違和感なく作業ができています。
最初はWindows自体と戦っていましたが、今ではWindowsで戦えるようになりました🔥
快適な環境になりとてもハッピーです。
みなさんも良いWindowsライフを!🍎
おまけ:Macに導入したWindows的ツール
最後に、逆にMacに導入した便利ツールもご紹介。
普段Macでは、エディタやターミナルを各リポジトリごとに仮想デスクトップに割り当てています。これは使いやすく便利なのですが、command + tab
でのアプリ切り替え時に「同じアプリだけど別のウィンドウ」に遷移してしまうことが多く、手間に感じていました。
AltTabを導入することで、一つ前のウィンドウを確実に開いたり、同じアプリ内でもウィンドウを選択できるようになり、かなり快適になりました🎉