フューチャー技術ブログ

クラウド世代のITコンサルタントが『Data Center』で物理インフラを体験してみた

1. はじめに

製造エネルギーグループの片岡久人です。

『Data Center』というゲームがリリースされ、一部界隈で話題になっていたので、プレイした感想をお話できればと思います。

筆者は、普段ITコンサルタントとして、アプリケーション構築やアーキテクチャ設計に携わっていますが、ベースとなるのはGCPなどのクラウド環境がほとんどであり、いわゆるオンプレミス環境でのインフラ構築経験はありません。

ネットワークの理論的な知識は頭に入っているものの、実践的な経験はあまりないというのが現状でした(大学院生時代にシミュレーション用のサーバーラックを組み立てたことはあるのですが、当時は言われるがままネジ留めしていただけで、ITの知識はほぼ皆無でした)。

「普段クラウドでポチポチと構築しているリソースの裏側では、一体どんな物理的な作業が行われているのか?」

そんな知識の隙間を埋めるべく、Steamで配信されているインフラ構築シミュレーションゲーム『Data Center』をプレイしてみました。

2. 『Data Center』とは?

一言で言えば、「何もない部屋にラックを立て、サーバーをマウントし、LANケーブルを繋いで顧客の要望(タスク)に応えていく」ゲームです。

現在デモ版が無料でプレイ可能です。

■ゲーム情報

次々と「このIPサブネットで、これくらいの計算リソース(IOPS)を用意してほしい」という案件が降ってくるので、それに対応するために、機材を発注し、構築していきます。

コンテナで届いた機材を台車で運び、ラックに組み込む。まさに「ゲームの中で仕事(作業)をする」感覚のゲームですが、好きな人にはたまらない没入感があります。

3. プレイの所感と学び:理論が「実体験」に変わる瞬間

実際にプレイしてみて、普段の業務ではあまり意識しない物理的なインフラ構築の工程を、ゲームの中で疑似的に体験することができました。

① 物理的なネットワーク接続のリアル

クラウドなら数クリックで終わるネットワークの構築も、物理では当然「ケーブル」が必要です。
ゲーム内では、ケーブルリールからLANケーブルを引き出し、スイッチからサーバーへ1本ずつ繋いでいきます。

「配線の取り回し(綺麗にまとめないと後で大変なことになる)」や「サーバ種類ごとの配置場所の決定」など、物理ならではの制約を疑似体験できました。

② IPアドレス計算の手作業

応用情報の試験勉強で学んだIPアドレスやサブネットマスクの計算。知識としては知っていましたが、実際に顧客(タスク)の要件(/28 など)に合わせてIPアドレスを手動でポチポチと設定していく作業は新鮮でした。

「あの理論は、現場でこうやって使うためのものだったのか」と、知識が実体験として繋がった感覚がありました。現時点ではCUI(Linuxのターミナル画面など)を叩いて設定するような深さには達していませんが、もしかすると今後そんな要素が出てくるかもしれません(既に存在していたらすいません)。

4. 「仮想化・コンテナ」の偉大さ

今回このゲームをプレイして一番の気付きだったのは、ビジネス視点や技術の歴史の変遷に対する腹落ち感です。

ゲーム中、顧客(タスク)が増えるごとに新しいサーバーを立て、それぞれに計算リソースを割り振り、ネットワーク(IP)を設定し、物理的な配線を繋ぎ変えるという泥臭い作業が発生します。

これを行っているうちに、「現実世界でも昔はこれを毎回人間が手作業でやっていたのか。それは無理があるし、限界が来るな」と感じました。

  • リソースが無駄に余っていても、物理的に繋がっていなければ他の顧客に使い回せない
  • 構成変更のたびに、データセンターに行ってケーブルを挿し直さなければならない

この「物理的なインフラ管理の限界と苦労」を身をもって体験したことで、それを解決するために生まれた「仮想化」や「コンテナ化」、そして「クラウド(IaaS)」といった技術がいかに偉大で、ビジネスのスピードアップに不可欠なものだったかが、身をもって理解できました。

物理の不便さを知ることで、現在私たちが当たり前のように使っている抽象化された技術のありがたみと、その進化の必然性を強く再認識できたのは、ITコンサルタントとして大きな収穫でした。

5. おわりに

『Data Center』は、最初はひたすらサーバーを立ててLANを繋ぐという「作業ゲー」の側面が強いですが、インフラの裏側を知りたい、あるいはクラウド技術の成り立ちを逆接的に体感したいエンジニアには、気づきを与えてくれるゲームだと思いました。

普段クラウド上で何気なくプロビジョニングしているリソースの裏には、こうして稼働している物理サーバー群がある。その事実を想像できるようになっただけでも、今後のアーキテクチャ設計に少し深みが出せそうです。刺さる人には間違いなく刺さるゲームなので、気になった方はぜひプレイしてみてください。