TIGの渋川です。エキスパートPythonプログラミング改訂3版が出版されました。ますます厚みを増し、買ってくれた知人からは、学者専用武器なのでは、とか銃弾止められそうとか感想をいただいております。
詳しくは共訳の清水川さんがすでに記事にしています。
僕が最初に触ったPython 2.2と比べても、また原著の初版の時代と比べても、言語から標準ライブラリから周辺ツールまで、かなりの進展がありました。本書もそのような言語のバージョンアップやエコシステムの変化を取り入れています。一部翻訳でいろいろ加えた内容などもあります。
一方で、現在話題の機械学習は触れていません。逆にいえば、そちらのライブラリなどはいろいろ進展があったとしても、本書の内容は古くなったり価値が減ったりはしません。言語のコアやテスト、ドキュメントやビルド周りなど、そういうところのストイックなところにフォーカスしています。
原著が説明対象にとりあげているPythonバージョンは3.7ですが、3.9とか一部3.10の話題とかも取り入れつつ、現時点で最新の話題を扱う書籍となっています。どうしても翻訳本というのは元のソフトウェアがリリースされてから原著が書かれるまでのリードタイム、翻訳のリードタイムと、どうしても最新情報からは遅れがちなのですが、これまで初版、改訂2版、改訂3版とやってきた中でずっと行ってきたように、鮮度の高い書籍としていろいろ訳注が追加されたりしています。このあたり、Pythonのコアメンバーでもある稲田さんのパワーは絶大でした。
僕自身もいろいろコラム的なやつとか章とかを追記したりしました。僕が書き足した内容はだいたいこれぐらいですかね。いくつかは下書きを技術ブログとしても出しています。
- PythonユーザーのためのGraalVM
- 「2020年代のコンテナ時代のPythonアーキテクチャ&デプロイ」というテーマでPyCon.jp 2020で発表してきました
- 仕事でPythonコンテナをデプロイする人向けのDockerfile (1): オールマイティ編
- 仕事でPythonコンテナをデプロイする人向けのDockerfile (2): distroless編
- 型ヒントの仕様の遷移(PEP集)
- セイウチ演算子(walrus operator)
- 2021年版Pythonの型ヒントの書き方 (for Python 3.9)
これらの内容ですが、英語でもまとまった内容がなかったり(Docker周りとか)したところで調べつつブログにまとめて書籍にも入れているので、世界でもトップクラスに情報の新鮮な書籍にできたのではないか、と思っています。
改訂2版からもページ数は100ページ増なのにお値段ほぼ据え置きということでお得度はかなり高い本になっていると思います。ぜひ、お手にとっていただきたいと思います。