はじめに
TIG DX ユニット 佐々木です。
春の入門祭り連載 19 日目を担当します。
2022 年 4 月に Future に新卒入社して 1 年ほど経ちました。入社以来、AWS を利用した Web システムの設計・開発に従事していますが、システムを構築する上で必要なインフラ・ネットワーク・DB 等の知識は、業務に必要な範囲で部分的に調査・理解することが多いです。
今回は、システムを構築する要素を体系的・網羅的に学習する機会を求め、ネットワーク入門として CCNA 試験の勉強・受験・結果的に合格まで至った感想についてお話しします。
本記事では、ネットワーク初学者の私がどのような状態を目指して CCNA 試験の勉強を始め、その結果どれだけ近づけたかについてお話しできればと思います。
ネットワーク知識の詳細な説明は主な目的ではありません。
CCNA とは?
Cisco Certified Network Associate を略して CCNA と呼びます。 CCNA は、Cisco Systems 社によって運営されているベンダー資格です。試験では、ネットワーキング設計、セキュリティ、および自動化に関する幅広い基礎知識が求められるほか、具体的なネットワーク構築スキルも問われます。そのため、 Cisco 製品を正しく扱う知識や技術も学習しました。
特定企業の製品の取り扱い方法を知っても…と思われるかもしれませんが、Cisco Systems 社は、国内ネットワーク機器分野において、2021 年時点で 48.1% と高いシェアを誇っており(図 1)、 Cisco 製品を正しく扱えることはスタンダードなネットワーク構築スキルの証明とも言えるかと思います。
図 1:国内ネットワーク機器市場、ベンダー別の支出額シェア実績、2021 年(出典:IDC Japan)その他のネットワーク試験との比較
ネットワーク系の資格としてはその他に、AWS 認定資格やネットワークスペシャリスト、CCNA の上位資格である CCNP を取得した・取得する予定だという声をよく耳にします。私の個人的な意見として、それぞれの資格について簡単に比較したいと思います。
CCNA
- Cisco のベンダー資格
- ネットワーク・セキュリティ・自動化などの基礎知識 + Cisco 製品への理解が求められる
- 3 年間のみ有効であり、失効前に再受験し、更新が必要
- 受験料:42,900 円(税込)(高い)
- 年に何度でもオンラインでも受験できる
AWS 認定資格
- AWS のベンダー資格
- AWS サービスとその運用に関する知識が求められる
- ネットワーク・セキュリティ・自動化などの概念や基礎は前提知識であり、問われることは少ない
- 3 年間のみ有効であり、失効前に再受験し、更新が必要
- 受験料:11,000 円〜30,000(税込)(レベルによって異なる)
- 年に何度でもオンラインでも受験できる
ネットワークスペシャリスト(ネスぺ)
- 国家資格
- 通信に関する幅広い知識に留まらず、IT 全般・マネジメントやストラテジ系の知識も求められる
- 設計課題はあるものの、実際の構築・設定のスキルは求められない
- 一度取得すれば、更新の必要性がない
- 受験料:5,700 円(税込)
- 年1回の対面受験のチャンスしかない
- 4 つの試験に合格する必要があり、時間にすると 9:30 ~ 16:30(1 日中テスト)
CCNA 試験を選んだ理由
私は中長期的に、システムアーキテクチャの全体設計について議論できる状態になりたいと考えていました。
達成のためには業務経験はもちろんのこと、システムを構成するインフラ・ネットワーク・DB など幅広い知識を体系的・網羅的に有する必要があるかと思います。
応用情報技術者資格の取得を通じて基礎的な部分については抑えられた(はずな)ので、各分野について深掘りしていきたく、手始めにネットワーク関連の知識を習得する方法として以下の 4 つを候補として考えていました。
- ネットワーク関連の技術書を色々読む
- AWS 認定資格取得に必要な知識を有する
- ネットワークスペシャリスト取得に必要な知識を有する
- CCNA・CCNP 資格に必要な知識を有する
1. ネットワーク関連の技術書を色々読む
色々本を読んで知識のインデックスを貼っていくのも良いのかもしれないのですが、基礎的な部分は頭の引き出しからスッと出せる状態にしたいと私は考えていました。
私は本から知識をインプットするだけでは頭の引き出し入れることができないため、何かアウトプットする機会が必要と考えて、この案は無くなりました。
2. AWS 認定資格取得に必要な知識を有する
モダンなシステムはオンプレではなく AWS や Google Cloud などの Cloud プラットフォームを用いて構築することが多いことから、AWS 認定資格を身近に感じていました。
しかし、AWS 認定試験では AWS サービスの仕様・運用方法を問われることが多く、ネットワーキングやセキュリティについて直接問われることが少ないため、ネットワーク知識を体系的に学ぶ機会としては適していないと考え、この案は無くなりました。
3. ネットワークスペシャリスト取得に必要な知識を有する
試験合格には通信に関する網羅的な知識が必要なほか、試験内容にネットワークの設計課題もあることから、なりたい状態に近づけるのはこれだ! と感じました。
しかし、試験内容が想像以上に高難易度で身の丈に合っていないほか、年 1 開催ということもあり敷居の高さを感じたため、この試験の前にファーストステップを踏むこととしました。
そのファーストステップとして選んだのが CCNA でした。ネットワーキング・セキュリティ・自動化などの基礎知識が幅広く求められ、試験も随時開催であることから取っ掛かりやすさを感じました。
CCNA 試験を通じて、なりたい状態に近づけたのか
中長期的に、システムアーキテクチャの全体設計について議論できる状態になりたいと言っていましたが、CCNA 合格に必要な知識を取得しただけではネットワーク設計に対して誰かと議論はできそうにないです。
ただ、既存設計のシステム構成についてある程度言語化したり、実際に構築するイメージを身に付けることはできたと感じています。
知識を蓄えるだけでなく、ネスぺの設計課題に取り組んだり、システム設計業務を通じて試行錯誤する経験を積むことで、徐々に議論できるようになるのかなと思うので、その足掛かりとしては有益だったと感じます。
まとめ
今回私はネットワーク入門として
- アウトプットする場を求めて技術書を読むだけではなく、
- サービスの仕様・運用方法の理解が求められる AWS 認定資格ではなく、
- 体系的なネットワーク知識や、設計課題を解く力が求められるネットワークスペシャリスト資格の足掛かりとして、
CCNA 試験の勉強をしました。
まだネットワーク初学者で、これから深掘りしていきたいという方にとっては、
ファーストステップとして取っ掛かりやすいとは思うので、候補の 1 つとして考えてみてはいかがでしょうか。
ただ受験料が 42,900 円(税込)とかなり高額なので、資格取得の支援があれば嬉しいですね…
本記事は以上です。春の入門祭り連載、続いては小橋さんの「technology radar を見てみよう」です!
私はしばらく新作ゼルダの世界へ行ってきます。
次は市川さんのStanによるベイズ推定に入門して株価の推移を予測してみるです。