フューチャー技術ブログ

伸びる人の条件についてSlackで話した

子どもを寝かしつける際にふと、「伸びる人の条件ってなんだろう?」と考えだしたら止まらなかったので、会社Slackのスーパー雑談チャンネルで投げかけてみたところ、有益かつ面白いやり取りができたので議論をまとめました。

新卒採用の面接でよく聞かれる話題でもありますね。

最初に出た「伸びる人の条件」たち

まず、みんなから出てきたのはこんな感じです。

  • 素直である(言われたフィードバックをプライド邪魔せず受け取れる、理由もなく自分のやり方に固執しない)
  • ロジカルシンキング / クリティカルシンキングができる
  • 手が早い、まずやってみる精神
  • 壁を作らず、越境できる
  • 与えられた役割を全うし、さらに広げようとする
  • 業務を通じて勝手に学べる(関連領域への興味関心)
  • ゴールイメージが持てる、またはそれが分からなければ端的に聞ける

どれも「たしかに」という感じです。特に「越境」や「戦場で強くなるタイプ」は、実務での成長を考えると納得感があります。

「早く、小さく失敗できるか」が鍵

議論の中で特に盛り上がったのが、二村さんによる「高速に改善サイクルを回せる人」という視点です。

これを分解すると、「いかに早く、小さな失敗をできるか」ということのようです。

  • ダメな例
    • タスクの期限ギリギリでレビューに出して、全やり直しになる
    • 一番ダメな例: 期限すぎてから終わりませんでした報告
  • 良い例
    • タスク説明されたら「こういうことですか?」(仮説)をすぐ返す(外れたら小さな失敗と言える)
    • 作業に着手してすぐ、2割くらいの完成度でも「こういう方向性で合ってますか?」と確認する

2〜3時間で作ったものなら、方向性が違っても「まぁいっか」とすぐ次に移れる。でも、期限いっぱいまで時間をかけて作ったものは、サンクコストでフィードバックを素直に受け入れにくくなる。指摘する側も心が痛むので、致命的でなければ目をつむることも。失敗を失敗を学びに変える習慣が重要であると。いっそ、仮説検証の試行回数/期間(≒小さな失敗回数/期間)をKPIとしてしまうこともオススメです。

どうすれば早く失敗できるか?という問いには、「ビビりになること」という回答がありました。大きな失敗をしないために、どうアクションすべきか考えるクセをつける。そうすると必然的に、こまめに成果物をチームに共有しフィードバックを求めることになると。

失敗を「学び」に変える

ただ、早く失敗するだけではダメで、 「失敗から抽象度を上げて次に活かす」 ことがセットです。fail fast, learn fast。

これをしないと、ただ毎回やり方を聞くだけの人になり、応用が効かなくなります。

では、どうやって抽象化能力を身につけるのでしょうか?

  • 圧倒的な量をこなすことで、質に転化させる
    • LLMみたいに、まずは大量のデータ(経験)が大事。質はその後という考え方
    • 複数の経験を通じて「ここが似ているな、共通点があるな」と気づけると、抽象思考が深まります
  • 振り返り
    • 「なぜそれを選んだのか?」と理由や判断根拠を問うたり、もっと良いやり方はできたか?と振り返る
    • 他の選択肢や評価観点を言語化させることで、足りない視点に気づける
  • 一芸に秀でる(めっちゃ深く・概念化できるレベルまで理解する)
    • こうすると、他分野でも抽象度を上げて考えられる論もある(わかる)

結局は、物量をこなす中で思考のフレームワークを身につけていくのが王道な気はします。功夫が重要。

リーダー(コーチング)の立場からは以下を意識するとよいでしょう。

  • 具象と抽象をセットで説明する(響くかは状況次第なので、響かなくても気にしない)
  • 成長が見られなくても気にしすぎず、年単位で成長が見られたら良しとするくらい長期的に見る

ロジカルシンキング

小さな失敗のためには、仮説を素早く立てることが重要であるため、ロジカルシンキングは大事です。仮説の精度を上げるためにはクリティカルシンキング(物事を様々な立場や視点から批判的に分析すること)も重要になってきます。

全力で考えた成果を素早く失敗して、今後の糧にすることが重要で、結果として仮説が外れても良いです。

越境、プロ意識

議論の終盤で、「責任感(当事者意識)」や「越境」というキーワードも改めてポップしました。

  • 越境 → 説明責任(覚悟)が身につく
  • 当事者意識 → 完成責任(実現力)の土台になる

また、「自分の成功 < チームの成功」というプロ意識も大事。お金をもらっている以上、個人の成長だけでなくチームやプロダクトの成功が最終ゴールです。この視点があるからこそ、フィードバックを素直に受け入れたり、小さな失敗を恐れずにコミュニケーションを取ったりできるのかもしれないです。

リーダーは、以下のような性質の人もよく観測すると思います。

  • 性格的・心理的に、早めに出したらボコボコにフィードバックされるかもしれないからか、クローズドマインド
    • だから途中の成果物を見せにくく、黙々と作業
      • でも、納得する品質に自力では中々達せず、時間が経過しさらにレビューを頼みにくくなるという負のスパイラル

レビュー依頼を早期に出すこと自体を褒めたり、雑談しやすい関係性を作るとともに、プロフェッショナルとして上記のマインドセットに変革を促すことが必要です。成功のために一番良いアプローチをプロは取るべきというのはシンプルで分かりやすく説得力が強いです。

まとめ

「伸びる人」についてはいろんな要素があるかと思いますが、今回の議論のまとめは以下でした。

  1. マインドセット
    • 素直さ、責任感、越境する姿勢を持つ
  2. 行動
    • 大きな失敗を避けるため、2割できたらレビューに出すなど「早く小さく失敗する」ことを意識する
  3. 思考
    1. 失敗経験から学びを抽象化し、次に応用する。量をこなす中で思考の質を高める

結局のところ、近道はなく、量をこなしながら学びのサイクルを高速で回し続けられる人が伸びる、という話に落ち着きました。

みなさんの伸びる人の”持論” があればXなどで教えて下さい。