フューチャー技術ブログ

フューチャー技術ブログで行っている連載企画が良いよって話

はじめに

こんにちは、技術ブログ運営の真野です。ブログ開設から4年半ほど運営を続けています。

運営のナレッジはフューチャー技術ブログの運営で心がけていることに書きましたが、”ブログ連載”という企画がかなり有益だと気がついたのと、ナレッジも溜まってきたのでまとめます。

フューチャー技術ブログでは2019年から連載企画と称して、 ある技術テーマに沿った記事を様々な人が集中的に公開する というイベントを開催しています。数えてみると思ったより多かったので表にまとめました。

No テーマ 記事数 初投稿 概要
1 インフラ入門 4 2017/1/9 業務・アプリ実装からすると影のイメージがあるインフラについて、この領域をやりたいと思う人を増やしたいというアツ思いから開始
2 Go Cloud 7 2019/11/11 日本でGoCloud(GoCDK)について触れている記事が少ないから、今なら天下が取れると某さんが先導して開始
3 Auth0 3 2020/1/22 導入実績が増えたAuth0についてだいぶナレッジが溜まってきたので開始
4 GCP連載 10 2020/2/5 GCPの採用実績が増えてきたので良い機会だと開始
5 DynamoDB×Go 3 2020/2/25 最初はAWS×Goネタで開始しようとしたところ、書きたいと言ったメンバー全員がDynamoDBについて苦労した話で盛り上がったので範囲を狭めた
6 フロントエンド連載 7 2020/3/16 記事がバックエンドに寄り過ぎじゃね?と気がついたため、社内事情とバランスを取るために発動した企画。Vue.js使いが社内で激増したことも追い風に
7 Serverless連載 6 2020/3/23 社内チャットで盛り上がった勢いで開始
8 Go Tips連載 8 2020/5/18 社内チャットで盛り上がった勢いで開始。2020/05/18現在連載中。
9 春の入門まつり 21 2020/6/1 新人研修空けのフレッシュマンがあふれる時期に開催しようということで社内チャットで広く募集した企画型
10 Zuora連載 4 2020/7/6 サブスクリプションプラットフォームZuoraのナレッジをまとめるレンライ
11 夏休み自由研究 15 2020/8/1 自分が好きな技術や興味があるテーマ について 自由に研究(執筆)する

この記事が公開された後にも、👪組織軸での連載や、🐳CNCFのプロダクト、春の入門・夏の自由研究に続き、🍁秋のブログ週間という”いつもより考え方や技術論”に比重を高めた連載も予定されています。

まだまだ手探りの面も多いですが、10以上の連載をこなして色々ナレッジが溜まったり、純粋に企画して良かったと感じています。何が良かったのかについて説明していきます。

ブログの連載企画とは

ブログの連載企画といっても、おそらく一般的な定義はないと思います。ただ、フューチャー技術ブログでは以下の条件を満たすと社内で連載だよねって呼ばれます。

  • あるテーマを定める。技術であったり、組織であったり、記事の方向性など
  • 複数人まとめて投稿する
  • 記事数が 最低3本以上になる
  • 集中的に投稿する期間を決める

今の所、1人でブログ連載を始めたい!っていう猛者は現れていません。今後は出てくることに期待ですね。

ブログ執筆は割と孤独かと思いますが、この手の連載は興味がある人を広く募集して行なうので、ちょっとしたお祭り感がでてきます。連載一覧を見て分かる通り、テーマはかなり広く設定することが多いです。そのため各人によって記事の内容にバラつきがあり、投稿者同士で応援しあえるのも良いポイントかなと思います。

ブログ連載の始め方

テーマはかなり緩いです。「GCPやGo言語やあるライブラリについて知見や思いがある方、一緒に書きませんか?」といったスタート方法が多いです。基本的にはGoogle Formに応募してもらっていますが、この人に書いて欲しいと思ったら運営側からDMを飛ばすこともあります。嘘です。常にDMはかなりの数を飛ばします。DMを送るのを躊躇わないことがとても重要です。

募集の段階でやっておいたほうが良いのは以下です。

  1. 開催時期を明確に決める(10月2週目~ではなく、10/12(月)~10/16(金)といった日付単位で決めましょう)
    • みんな本業が忙しいのでバランスが取れるか判断してもらえるようにです
    • ブログ連載が連続すると大変なので、なるべく1ヶ月くらいは空けた方が良いと思います(特にターゲットとなる寄稿者が被りそうな場合)
    • 1.5~2.5ヶ月前くらいが適当かなと思います
  2. 応募期限を決める
    • 大体2週間くらい。土日が2回あると、ネタを仕込んでくれる人もいます
  3. テーマを決める(例:GCPについてなら何でもOK!とか緩くても良いかと思います)
    • こういう記事を読みたい!という読み手の気持ちは大事ですが、その前にまず自分がそのテーマで書きたいか、書けるのか?という視点が大事だと思います
      • どんなに良い企画を思いついても、記事が集まらなければ意味がないので、有志運営の企業ブログは書き手視点が本当に大事です
    • 日本語記事も(何なら英語記事も)少ないので、先行者利益を狙っていこうよ!とか少しストレッチ気味のテーマもたまに入れると良いかなと思います
  4. 予め書いてくれそうな人が確定してから募集する
    • これは運営ナレッジなのですが、広く募集しても一向に人が集まらないと心臓に悪いです(1時間おきにGoogle Formの結果を見ちゃいます)。そのため、最初から6,7割の寄稿者を集めておくととても気持ちが楽です。つまり、社内一般募集を開始するときにはほぼ戦いは終わっているのです
    • 自主的に応募してくれる人はいつも限られる(毎回同じメンバーになりますよね?)ので、いかに在野(といっても社内ですが)の人材を発掘できるかが勝負です。大丈夫です、どの会社でも有能な人材は沢山、本当に沢山眠っています。見つからない場合は過去の寄稿者で最近投稿していない人に声をかけたりもします
    • 起点はなんだかんだ、Slackなどチャットベースで共通の興味関心があったときに、2人以上が賛同してくれた場合に企画が着火するケースが多かったです
  5. 補欠制度を考える
    • これも運営ナレッジなのですが、突然の業務都合で記事を書けないとか、PCが壊れたと言った理由で、予定通りに入稿されないケースがあります。アドベントカレンダーと違って、毎日投稿にこだわっているわけではないですが、あまり続くと心臓に悪いです。特にインデックス記事で、こういう連載をおこないます!と宣言していると最悪です
    • 大体、1~3人の補欠を設けると精神的に楽なのでオススメです
    • 募集の際に毎回連載に名を連ねるのは申し訳ないかも?という奥ゆかしい方がいらっしゃるので、募集のGoogle Formにも人数が多ければ補欠で良いという選択を設けると良いかなと思います

人数が集まらなかった場合も、3人集まれば連載だと思うのでライトに始めます。それすら集まらなくてボツになった企画案もいくつかありますが、2,3個くらいと今のところは成功率の方が高いです。

12月以外に行なうAdvent Calendarですか?

はい、ほぼほぼそのとおりです。

違いがあるとすると、枠が25固定ではない・毎日投稿するとは限らない(平日だけですし、週3の場合もある)という点でしょう。

フューチャーもここ5年くらい(20192018201720162015)アドベントカレンダーイベントに参加していて感覚に慣れている人が多いので、そのカジュアル版という捉え方をしている人が多いと思います。

開催時期こそアドベントカレンダーと異なりますが、バトンで連載を繋ぐスタイルは同じなので、さきほど述べたように寄稿者同士で連帯感がでたり、読みてからも注目しやすいといったメリットは同じだと思います。

なお、春・夏の連載は終わった後にリモート打ち上げをしましたが、あまり人が集まらなかったことを白状します。連帯感どこ行った。

ブログ連載企画やってみて良かったこと

書き手側の気持ちでは、みんなで投稿していくのが楽しいよってことですし、運営側としてはご推察の通り、一定の記事数が稼げてウハウハってことですが、他にもいくつかプッシュさせてください。

①1人だと書ききれない幅と量でかける

1本だけのTips、入門的な開発環境構築だと、これくらいならブログにするのはちょっと分量が足りないかな…っと躊躇する人も多いと思います。しかし連載企画で集中連載していると、全体を通して一つの記事のようなものになるので、むしろそういった幅が広がる記事が歓迎されていました。

王道的に、「ある技術の背景や導入部分」を書く人もいれば、特定のユーザにしか刺さらないような「マニアックなネタ」を書く人がいて、もちろん「入門的なやってみた」記事もある。お互いをお互い補完しあう関係になれるのは強い気がします。「概要部分」は1本目の記事を読んでください、といった紹介リンクは特によく見られる光景でした。いろいろな興味・仕事のメンバーを集めたことで、それぞれの興味がオーバーラップして、紹介記事としてのカバレッジをあげることができました。 とはとあるメンバーの発言ですが、まさにその通りの効果が出しやすい作戦だと思います。

②みんなでやるなら期限を守りやすい

あるテーマについてやろうと思いながら、日々の忙しさもあり中々手が進まないときも多いと思います。その時、連載企画という期限他の参加者があると、適度な緊張感 で臨むことができます。何かしらアウトプットを出す良いマイルストーンにしやすいです。一部メンバーは週末リモートモクモク会と称して、お互いブログ記事を書いていたりもしていて、目に見えて手を動かす理由付けになるようでした。ついサボりがちな私自身も、自分を追い込む良い理由にできてよかったです。

③あるテーマについて集中投稿していると外部に宣伝しやすい

勉強会や採用面接などで、自社が最近注目している技術について話す機会って意外とあると思います。そういったときに、ある技術テーマで集中連載しているという話は意外と食いつきがよく、自社の考え方や興味を表すのに便利だなと感じました。また、この辺の記事とURLをいくつかシェアするより、連載企画のついたタグのURLをシェアできるのでお手軽です。

また、これは最後のGoTips連載の例ですが、コミュニティのアカウントに紹介していただけました。ありがとうございます。

https://twitter.com/golangjp/status/1264117466520682497?s=19

注目度が集まりやすいということに関連して、ニッチなテーマであっても1人ではなくチームで連載をすると、組織として注目しているだという印象を与えやすいと思います。(実際に複数人が記事を書けるという事実はあるので嘘ではないのですが)。個人・企業が運営する技術ブログの数は非常に多いので、その中でも目立たせるため連載記事を通して特徴付けするのが悪くない作戦かなと思います。

④参画障壁が下がる

連載企画ですが必ずしもその技術に習熟した人だけが参加するのではなく、一度もちゃんと触ったことがない人でも参加することがありました。そういった方には連載企画の執筆陣同志でレビューして教え合ったりすることもあり、良いきっかけづくりになったと思います。また、例えばまだ社内的に実績が無かった技術に関しては、全員が初心者🔰 といった状態もありました。その時は全員がドキュメントを読み、内部のコードを読み、使い方を考えながらキャッチアップしたり、アウトプットをお互いに発表したりで、個人ではなくチームで学習するサイクルを持てたと思います。

また、連載企画を開始するときにメンバーを募集しますが、そのときに今までブログを書いたことがないメンバーも多く手を上げてくれました。1人で何のネタでブログを書くか考えて手を動かすのは敷居が高いけど、決められたテーマでネタをつくる方が取り組みやすい人もいるようです。連載企画の技術テーマ軸でコミュニティを作れるというのも良い側面だと思います。

ブログ連載企画やってみて失敗したこと

失敗したなと思ったのは、春の入門祭りは人数が21名と非常に多かったこと、それにより期間もほぼ1ヶ月と長かったことです。(社内でも飽きていた人がいるかも?)。応募者が多数だったとしても、人数は最大15名(平日のみで3週間)がMaxだと思います。それ以上は読み手も運営も大変なので分割した方が良いとは思いました。

明確な失敗ではないですが改善だなと思うこともあげます。

春の入門祭り、夏休み自由研究、秋のブログ週間のような特定の技術テーマでない連載は最初は面白がってくれるものの、記載する技術要素は自由です。フリーテーマだと回数をこなすほど集客に難がある気がする(もう少し特化したほうがDMで募集もしやすい)ので、季節モノの連載テーマはもう少し改善が必要だと思っています。具体的に言うと、夏休み自由研究は比較的イメージが湧きやすい(小学校教育の勝利を感じます)ですが、「秋のブログ週間」はこのテーマだと何を書けば良いかわからないので苦戦しました。

また、春の入門祭りは誰にとっての入門かという点を明示しなかったため、本当の初心者(Futureに新卒入社する若手の平均レベル)からすると技術ハードルが高い記事が混在していた問題もありました。このカオス感はこれはこれで良いという意見もありますし、明示すると書き手の募集にマイナスなのとハードルが上がるので簡単ではないですが、もう少し良いテーマ設定があるとは感じています。

今後やりたいこと

来年も継続しようと思っているのは、以下の季節モノは定常化させようと思っています。冬はアドベントカレンダーがあるので開催しません。

  • 春の入門祭り
  • 夏休み自由研究
  • 秋のブログ週間

個人的にはFlutter連載など、今社内で多少事例はあるけどそこまで広く使われていない技術の連載も増やしたいと思っています。

また、純粋な技術以外にも、

  • アーキテクチャ設計やらかし失敗連載
  • システム運用Tips連載
  • データ移行連載

など、設計/運用/移行といった、システム視点の連載も増やしていきたいなと思っています。

FAQ

連載企画について社内でよく聞かれる(聞かれた)ことです。

  • (Q1)すでに終わった連載企画に記事を追加することは良いの?
    • はい。希望があればご自由にです。Serverless連載は実はちょくちょく追加されています。
  • (Q2)同じ連載企画をもう一度始めたいんだけど..
    • 連続で3名以上が投稿するなら、第2弾目の連載企画として初めて、初回は第1弾としちゃおうかなと運営内で話しています。Serverless連載2021とか年号をつけるとカッコいいかもとかありますよね
  • (Q3)自分たちの部署やプロジェクトでも始めたいんだけど、どういうフローで承認されるの?
    • 連載したい時期を運営(真野か伊藤太斉)までSlackかGoogle Chatで連絡いただけたらノー審査で承認します!

まとめ

フューチャー技術ブログでは比較的、新しい取り組みである「連載企画」について話しました。他の企業技術ブログでも実質的に同じような取り組みをすでに行っているよーというところも多いかと思いますが、その事自体の記事をあまり見たことが無かったので今回まとめました。

名前はさておき、連載企画という考え方や動きが広まることを祈っています。

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