Google Cloud Next 2026を通して感じたAIエージェント活用の現在地

目次

はじめに

こんにちは。フューチャーアーキテクト 製造・エネルギーサービス事業部の柴田です😌 見真の心で本質を探求しています!

昨年に続き、Google Cloud Next 2026 に参加してきました(去年の記事)。この1年でサービスは増えましたが、また整理中という印象です。本記事では、カタログでは分からない現地で感じた温度感と、そこから考えた進むべき方向を手短に整理します。

全体の所感

Gemini Enterpriseでできることは増えたが、「事例」はまだ追いついていない

クリックするとYouTube(基調講演 22:55〜)が開きます

基調講演の大半は Gemini Enterprise 関連でした。ブランド再編と新サービス追加が続き、去年からGoogle Cloud がこの領域に本気なのがよく伝わります。一方、事例紹介では Cymbal(シンバル) という Google の架空企業のデモがあったり、全社導入したという話で終わっていたり、具体的な導入事例はまだ少ない、というのが率直な印象です。デモのようなことをするための難しさに直面しているという状況で、「自律エージェントをどう普及させるか」「ガバナンスをどう整えるか」という難しさを語るセッションも多かったです。

エージェントには2種類ある ― 「秘書型」と「独立型」

現地を回りながら、エージェントには大きく2方向あると改めて整理しました。

  • 秘書型(デスクトップ型):自分の業務を効率化してくれるエージェント。Claude Code が代表格で、調べ物・下書き・コード生成をこなします。導入ハードルが低く、短期で成果を出しやすいのが強みです
  • 独立型:AIが労働力を代替し、自律的にタスクを実行するエージェント。クラウド上で動くためガバナンス・データ連携・権限設計を先に決める必要があり、実装も複雑。短期で成果を出すのは難しいタイプです

ただ、目指す先を考えると独立型は避けて通れません。そして、Gemini Enterpriseは独立型の世界観を見据えたものであり、「個人業務の効率化」の先を目指すための有効な手段となります。

例えば契約書業務の「作成 → レビュー → 承認」は、人間なら担当が別々です。であれば、別々の権限を持つエージェントが担うべきです。短期は秘書型で成果を出しつつ、中長期で独立型の基盤を仕込む――この両にらみが現実的だと考えています。

【要注意】混沌としてきた Gemini Enterprise 周りの名称整理

Gemini Enterpriseは現在も絶賛サービス拡充なことから名称変更と再編が相次ぎ、古い記事は旧名称のままなので、同じ名前でも意味が変わっていたりして、とにかく分かりづらいです。現時点の対応を整理しておきます。

旧名称 現名称 主な対象
Gemini Enterprise Gemini Enterprise App 業務者向けプラットフォーム
Vertex AI Gemini Enterprise Agent Platform 開発者向け
Dataplex Universal Catalog Knowledge Catalog データ基盤(コンテキスト)

最大の罠は、Gemini Enterpriseだと思います。利用者が実際に開くアプリ本体は「Gemini Enterprise App」と呼ばれています。プラットフォーム全体の呼称「Gemini Enterprise」と紛らわしいので注意です。

Gemini Enterprise App と Gemini Enterprise Agent Platformは、一応は従業員向けと開発者向けという分類がされていますが、Appの方がIT知識なしで誰でもエージェントを作れるか?と言われるとそうでもなく、AppとAgent Platformの両方にノーコードでエージェントを作るサービスが用意されていたりと、まだ整理中で今後も激しく変更すると思われます。

現時点では、ノーコードで手早く作るならApp、作り込みと全社ガバナンスまで見据えるならAgent Platform(基本的にはADKで自前構築)ですが、半年後にはまた役割分担が変わっているかもしれません。

これから重要なのは「データ基盤のAIエージェントReady化」

サービスが増えても、エージェントが賢く動くかは結局データ側で決まります。今後の主戦場は、データ基盤を「AIエージェントが使える状態」にすることであり、その柱はメタデータ拡充とナレッジグラフ化です。

メタデータ拡充

データに対してAIが利用できる情報を増やすことで、データに対するAIの解釈性向上が期待できます。膨大なテーブル全てに対して人手でコツコツというのは非現実的なので、自動化のアプローチで進めるべきです。ドキュメントやクエリログから業務的な意味を抽出してメタデータを拡充し、Knowledge Catalogで管理するというアプローチを紹介しているブースもありました。

ナレッジグラフ化

データ同士の関係をグラフで持たせることで、AIの解釈性向上が期待できます。今年プレビューで出た BigQuery Graph は、リレーショナルとグラフを同一データ上で扱え、GQLでパターン探索ができます。実際に公式チュートリアルを自分のプロジェクトで動かしてみましたが、商品の流れなどが分かるようになるので、この情報をAIが利用できれば、より正確な回答が返ってくるのではと思います。

BigQuery Graph の公式チュートリアルを動かしたところ

ただし現時点では、関係は人間が明示的に定義したほうが良さそうです。設計にも時間を要すると思われるので、まずメタデータを土台に整え、その結果次第でナレッジグラフを「追加する」位置付けがちょうど良いと感じています。

まとめ

Next 2026 は「サービスが出そろい、いよいよ独立型エージェントの土台づくりに入ったフェーズ」でした。要点は3つです。

  • 短期は秘書型で着実に成果を出す
  • 中長期は独立型を見据え、ガバナンス・権限設計・A2A などを仕込む
  • そのどちらの前提としても、データ基盤のAIエージェントReady化(メタデータ拡充 → ナレッジグラフ化)が効いてくる

名称は今後も揺れ続けるので、継続的にキャッチアップして振り回されないようにしたいと思います。

参考