フューチャー技術ブログ

基礎から深く理解する、実践型NLP講習会の取り組み

はじめに

みなさんこんにちは!AI戦略推進グループ (AIXG) の岸波と申します。入社後はAIXGの自然言語処理 (NLP) チームに所属し、現在は主にNLPに関する研究開発や社会実装に取り組んでいます。

私たちのチームでは、約3カ月間にわたる実践的なNLP講習会を昨年から社内で開催しています。

そして先月、第2期(2年目)が無事に一区切りを迎えました。

このブログでは、私たちが継続して取り組んでいるこの講習会の内容や特徴についてご紹介します。ブログを通して、「フューチャーではこんな取り組みも行っているんだな」「こんな成長環境があるんだな」ということをぜひ知っていただけたら嬉しいです!

講習会実施のきっかけ

最近では、AIエージェントや大規模言語モデル (LLM) の話題を聞かない日はないほど、私たちの日常生活や仕事でも幅広く活用されています。

当社のNLPチームでも、AIエージェントやLLMを中心としたNLPの技術を応用するプロジェクトに日々取り組んでいます。チームには、学生時代からNLPを専門に研究してきたメンバーもいれば、別の領域から新たにNLPにチャレンジしているメンバーもおり、バックグラウンドはさまざまです。

NLPチームのメンバーとしてプロジェクトを進めていくにあたり、技術の根本から理解し、これまでの分野の流れや概況をつかんでおくことは非常に重要です。さまざまなタスクやアプローチを基礎から理解しておくことで、実際のプロジェクトで課題が発生した際に「この課題はこのNLPタスクの枠組みに近いかもしれない」「この課題なら、この手法が有効かもしれない」と、自身の引き出しを増やすことができます。

そのような狙いから、基礎から最先端の実装までを一貫して学ぶことができる実践型のNLP講習会を社内で企画・実施しています。

講習会の全体像

本講習会は、大きく4種類のカリキュラムで構成しており、全体で約3カ月間かけて実施しています。

  • NLPプログラミングの基礎
  • 教科書の輪読
  • LLMやAIエージェントの実践チュートリアル
  • 自由課題

カリキュラムは大学の研究室などで新規配属者向けに行われている勉強会※も参考にしながら、当社の実業務での応用を見据えて作成しました。

これらのカリキュラムは業務の一環として、しっかりと時間を確保して取り組んでいます。日頃は自習として実装や教科書理解を進めつつ、週次で講義ミーティングを実施して全員で議論する時間を取っています。

※ 特にTohoku NLP Groupで開催されている自然言語処理基礎勉強会や、プログラミング基礎勉強会を参考にさせていただきました。

NLPプログラミングの基礎

指定の教材を活用しながら実際に手を動かし、NLPに関する実装力を身につけるカリキュラムです。

Pythonでの基本的なテキスト処理から、NLP特有のライブラリの使い方、機械学習の基礎、APIを利用したLLMの扱いなどを学びます。これらは実際のプロジェクトでNLPの技術を利用したアプローチを実装する際にも活かせる実践的なコーディングスキルです。

教科書の輪読

指定の教科書を受講メンバーで読み進め、NLPに関するタスクの一般的なアプローチや、現在のLLMを支える技術の根幹などの理解を深めます。

あわせて、教科書の題材に関する最新技術や応用例も紹介し、実際のプロジェクトでの応用イメージもつかんでもらいながら進めます。

LLMやAIエージェントの実践チュートリアル

実際にローカルLLMを特定のタスクのデータでファインチューニングしたり、AIエージェントを構築したりといった応用的なチュートリアルを実施します。

実装コードを追いながら実際に動かすことで、学習や推論過程などをブラックボックスにせず、一つ一つ理解しながら学びます。

自由課題

最後は集大成として、参加者それぞれが自由なテーマを設定し、アプローチ検討から実装、評価実験、分析を1周することに挑戦します。

ここまで学んだ知識をフル活用して各自がゼロから作り上げるため難易度は高いですが、実際のプロジェクトに近い形で、特定の課題に対する試行錯誤の一連の流れを経験することができます。

↓自由課題のテーマ例

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講習会の特徴

本講習会は、カリキュラムを単なる自習や座学で終わらせず、参加メンバー全員が技術を深く、そして楽しみながら学べるような特徴や雰囲気があります。

手厚いメンター制

各カリキュラムには、過去の講習会受講メンバーやその領域に知見を持ったメンバーがメンターとしてサポートする体制をとっています。

メンターは受講メンバーが実装したコードへのコメントや、理解に困ったポイントへの解説などを行います。

さらに、自身の知見や経験に基づいて教材にはない情報を補足することで、より理解が深まり幅広い知識を得ることができます。特に過去に受講したメンバーがメンターを務めるシステムは、ただ受講して終わるのではなく、次は自身が育てる・サポートする側に回るという良いサイクルに繋がっています。

実際のプロジェクトとの接続

週次の講義ミーティングでは、メンターから実際のプロジェクトでの応用例なども紹介してもらっています。

これによって、今学んでいることの意義・価値を感じながら進めることができ、受講メンバーのモチベーション維持に繋がっています。

質問しやすく柔軟に学べる環境

現在は比較的少人数で進めていることもあり、全体として質問しやすい雰囲気で進んでいます。

また、講義ミーティングは録画してアーカイブ化されているため、各自のプロジェクトの業務状況に合わせて柔軟にキャッチアップできる形をとっています。

受講者からの声

講習会を完走したメンバーからは以下のような声をいただいており、過去の受講メンバーもすでにNLPに関するプロジェクトの第一線で活躍しています。

  • 「これまでよく理解できていなかった部分が講習を通じてクリアになりました。概要レベルの知識から一歩踏み込み、実際のモデルの学習プロセスや論文内のアーキテクチャの意味が少しずつ紐解けるようになったと感じています。」
  • 「日々の業務にて『なんとなく』の理解で進めていたところが講習会に参加することで明確になり、自分のナレッジとして正しく蓄積できたと感じています。また、自由課題では、普段の業務で触れている技術と向き合いながら進めることで、技術的な価値や困難をより実感でき、日々の業務にも生かすことができるような経験ができました。」
  • 「これまで触れてこなかった分野で仕事をするにあたっての基礎知識吸収の場として参加させていただき、自然言語処理の統計的手法や機械学習など、様々な知識を吸収することができました。基礎知識が身に付いたことにより、日々の業務の理解度が向上したとともに、実際のプロジェクトでも複数の手段を検討することができており、成果物の品質向上にも寄与していると感じています。」

おわりに

昨年から実施している講習会ですが、多くの方々からのご協力のもと今年も開催することができました。

受講メンバーからも好評で、今後もさらにアップデートしながら継続的に実施していきたいと思っています。また、特徴でも触れたように「学んだメンバーが次に教える側に回る」という良いサイクルを次回以降も回し続けることで、個人の成長にとどまらず、チーム全体の技術力向上に繋げていきたいと考えています。

AIXGでは、このように社員の成長をチーム全体で後押しし、最先端の技術を楽しみながらキャッチアップしていける環境も大切にしています。

そして、ともに自然言語処理の実社会応用を推進していく方も募集しています! ご興味を持っていただいた方、ぜひAIXGで一緒に働きましょう!